20168/31
初めての全国ネットになったKちゃんのテレビ番組。
18歳の選挙権についての報道番組だ。
最終編集は東京のキー局で行なわれる。
キー局のプロデューサー、ディレクター、ナレーター。そしてKちゃん。付き添いにウチの報道部長…。
リメイクが完成したのは深夜23時。納入期限ギリギリ。
全員で最後に見直す。プロデューサーが最後に…
「いいんじゃないですか」。
スタッフが「そうですね」「お疲れ様でした」と続く。
が…。なにも言わずに俯いたままのKちゃん。
「あの…」とKちゃん。
「あの…。最後の締めのコメントが嫌なんです。なんか上から目線で…」
スタッフが凍る。
付き添いの報道部長は内心「空気読まんかい。みんな最終の電車もあるんやで。
プロがOK出しているし、納入期限1時間前やし…」と目を閉じる。
プロデューサーが微笑んで一言。
「そうですか。これはあなたの番組です。では、あと30分しかありませんが、やり直しましょう。コメントを考えてください」
ほっとする報道部長。
Kちゃん。僕はとても誇らしいよ。
ラジオディレクターを志望して入社してきた君が。
今は別の世界でこうしてもがいている君が。
今朝も鍋焼きうどんしか食べれない情けない体調の僕だけどさ。