ものづくりに命懸けになっている人たちの多くは、コンテストの結果なんかもそうですが、
「あの人に褒められたい。認められたい。」という、敬愛する先達だとか、評論家を心の中に持っているものです。
僕にとってFさんは、そんな中のお一人。
大昔の新聞社の専務さんで、大学の大先輩でもあります。75歳くらいかな。
「風の男 BUZAEMON」の映像付きラジオドラマDVDをお贈りしたところ、DVDで視られた後に、改めてラジオでの再放送も聴かれたとのこと。
早速に長い素敵な文章のお手紙をいただきました。
“映像を排除したラジオドラマが「動」とするならば、映像バージョンは「静」。二通りの感興をいただきました・・・”と。
“乾坤一擲・・埃を被ったような古臭い四字熟語がここでは生気に満ちて響いています。戦いのエネルギー、勝利への確かな展望と確信。そんな魔法の言葉として作用しているのです。「祝祭のドラマ」に仕立て上がっているようにも思えます。”
・・・なんという評論文でしょう。評価そのものよりも、この文章表現の的確さとラジオの本質をわかっていらっしゃる教養に、
「僕には書けない文章だ」とため息を漏らしました。
Fさんに、また新作を聞いてもらいたく。一瞬、そんな気分になってしまいました(笑)。(いかん、いかん。神に約束したのだから・・・)
窓を開けると、ガラスに映った松山城がビルの風景に溶け込んで、まるで真昼の蜃気楼のようです。
ミラージュ。或いは、アンセルモ。
僕にとってFさんは、そんな存在でもあります。
素敵なお手紙、ありがとうございました。