『1985』

In Categoryヒコヒコ日誌
By田中和彦

夜。ドアホンが鳴った。お隣りのお婆さんだった。
「明日。サ高住に引越ししますんでご挨拶に・・・」
いいとこ見つかりましたか。
「はい。海の見える新しいところが一部屋ありまして。
私も90になりますから、しんどくて・・・
沢山優しくして貰い、主人の葬儀の時はお花までいただきありがとうございました。
ここに来た時は慎ちゃん(息子のこと)が幼稚園でしたよね」
(そっか、1985年だものな)そうでしたね。元気でいてくださいね。
「ありがとうございます。田中さんこそ」
ちょうど薮野健画伯からメール添付の絵が送られてきたばかりでした。


エジプト・ルクソール。
メモをみたら1985年12月に描く・・・と。
ルクソールは1992年ごろ僕も行って
王家の谷のツタンカーメンの墓などに入ったことがありました。
アガサ・クリスティが古代学者の旦那についてこの地にきて
「ナイルに死す」とか何冊かの推理小説を書いた街、ルクソール。
誰しもに歴史ありだな・・・とお隣さんの後ろ姿を見送りました。
さようならより、ありがとうがいいな。