20184/25
ちょっといい話・・を。
かつて近鉄パールス(後のバッファローズ)に武智文雄というアンダースローの投手がいました。
昭和30年6月に彼は完全試合(パーフェクト)を達成するんです。
パリーグ第一号の。そして2か月後の8月にもまたやりそうになるんです。9回1アウトまでいきます・・。
金田正一とか野茂英雄とか「ノーヒット・ノーラン」を複数回した投手はいますが、完全試合の複数回なんていません。
実はこの日。武智投手は初めての子供が生まれる予定日。彼は「女の子がいいな」とずーっと思っていたそうです。
9回のマウンドに彼が上った時、「長女誕生」のニュースがベンチに入ります。監督は迷います。伝えるべきか、否か。
結局。ワンアウトのあと。タイムを取り、朗報をマウンドに伝えに行くのです。
そして・・そのあと、武智はヒットを打たれました。
その時生まれた彼の長女が作家につぶやいた言葉というのが・・「私、生まれついての親不孝な娘なんです」という言葉(笑)。
一気読みして、「読後感最高だけど・・そう売れないよな、このタイプの本。よくぞ出版した集英社!!」と。
野球ファンですら知らない特攻の生き残りに名投手がいたという事を書ききった作家さんの気持ちが伝わってきて、とても気分が良かったです。
この作家さんも高校時代、無名のアンダースローのピッチャーをしていたのだと・・。
さらにいうと武智投手の次男は僕の高校の後輩であることも分かりました。
“人の思い”・・って、作家の”志”って、そのことだけで泣けることがあります。