後輩思いの寺Oさんは、何年か前に E刺君が何かの病で入院した時、
病室が退屈だと言うのでディスクマンを貸してあげた。(・・・何年前だよ・・)
数日後、E刺君は無事退院したが、ディスクマンは返ってこなかった。
忘れている事は薄々気付いていた。
退院の荷物に紛れてしまっているのだろうから、早く探せと 時々せっついた。
が、毎回「あーあー」と煮え切らない返事を繰り返すだけだった。
私がしつこくしたのは‘ケチだから’だけではない。
親しき仲にも礼儀あり、金の切れ目は縁の切れ目だ。
先輩として言うべき事は言う、縁だってどうでもいい奴ならそのまま切ってやる。
そして何より、一番のお気に入りCDも一緒に貸していた。 ←それだけでも返せ。
でも、いくらこいつに話してもだめだと思ったので、
E刺君の披露宴の時、ほぼ初対面の奥さんにご挨拶させて頂いた。
「はじめまして、私のCDをよろしく」 と。
* * * * * *
でもそんなことも忘れていた。
今ラジオは引っ越し準備中だが、夜中に片づけをしている途中で
めったに開けない備品棚を開け、録音機材の中にディスクマンを見た時思い出した。
「そう言えば私のディスクマンは今頃どこで泣いているのだろう・・」
私のディスクマンには、目印に底面に真っ黄色の大きなシールが貼って・・
―― あった。
あたしのやんかーーっ!
こら、なんでこんなとこにあたしのディスクマンがあんねん!・・・あっCDも!!
会社まで持ってきたんなら返さんかーい!
想像するに、見覚えのない ディスクマンがあったので (この段階で借りた事を忘れている)
とりあえず、会社の備品棚にしまいこみ、記憶から消し去った。 ・・・ そんな奴です。 だろ?
世間が i Pod とか何とか極小時代に向かっている中、
私はこのディスクマンと共に過ごせなかった時を謳歌する予定です。