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「これが 飲まずにいられますかっ!」

とても大人しく家に帰る気分になれなかったので
お酒でも飲んでコテッと寝ようと思って馴染みの店に行った。

「おすすめの度数控えめなお酒があるんですよ」と言われた。
「いえいえ 今日は度数が高い方がいいんです。」と言い終わらない内に
「間違えて注文して 余ってるのがあるんです。
ほら、ご注文の品と見た目変わらないでしょ?」

思えば、私が注文したお酒は余ったお酒と度数違いなだけで、
それを注文した客に勧めてみるにはあまりにもタイムリーだった。
おまけに度数が低い分?値段も半額になるので尚更勧められた。

「いえいえ、見た目似てるとかじゃなくて、今日は酔いたいので‥」
と、言ったか言わないかの内に、
見た目よく似た、度数が低い方のお酒が注がれた。

こらこら。

やっぱり酔えなかったので、2杯目のお酒を頼んだ。
「もう少しで空く おすすめのお酒がありますよ」
「それって、そのボトル早く空けたいだけでしょ!」

店に入るまで 近年希に見る怒りモードだったので
マスターのとぼけた客あしらいに拍子抜けして 笑えた。

酔えはしなかったけど
お酒の役目は十分だった。

なかなか良い店じゃない