花の記憶
栗の花に似た匂いが街を包む
何の花なのか園芸の先生に教えてもらったのに 花の名前を忘れてしまった
「 カミさんが、この季節は嫌いだとぼやくんだよ 」 と、苦笑していた
この花が咲き始めると 先生の優しい顔を思い出す どんな小さな花も愛していた先生が逝って、もう何年になるのだろう
花の便りが、ぼやく相手をなくした奥様に 寂しさまで届けなければいいけれど・・