実家で朝を迎えた。
母が 「 目玉焼きでも焼こうか?」 と言ってくれたが、
もう松山に戻らないといけないので 断った。
―― あ・・。
お彼岸に帰らなかったので、お墓参りしてから戻ることにした。
そんな話をしていると
母が 「 目玉焼きでも焼こうか?」 とまた言ってくれたので、
そんなに急ぐ事もないかと、「 うん。」 と答えた。
―― 母は
「 1個?2個?」 と聞いて、私が 「 1個。」 と答えると
小さなフライパンに油をひいて、卵を1個割った。
お皿に目玉焼きが1コ。
ほんとに1コ。 何の添え物もなく1コ。
半熟よりも ゆるい、濃い黄色の目玉焼きが1コ。
―― シンプル過ぎるぜ母ちゃん・・。
でも、めちゃくちゃ美味しい。
「 何で味付けしたん??」
「 お塩とコショーよ。」
―― だよね。
でも どうしてこんなに美味しんだろう??
固まってない黄身はタラ〜とひろがっていく。
幼い頃、
子供から見たら何でもできる母ちゃんを不思議な気持ちで見ていた。
やっぱ母ちゃんは魔法使いだった。