父ちゃんに電話した。
携帯など持っていないので、店にかけた。

プルプル鳴っている間も 何を話そうか考えていた。
「おめでとう」 の あとの言葉が浮かばない。

  ―― カチャ ( 出た!)

「もしもし」 ―― 聞き慣れた声は母ちゃんだった。
ちょっと ホッ とした。
「どしたん?」
「・・いや、お父さん、今日誕生日だなって思って・・」
聞けば、父ちゃんは朝から松山に出掛けているらしい。
松山に来ても私に連絡がないのはいつもの事なので驚かない。
 
「おめでとう」 は 母ちゃんに伝えてもらうことにした。
父ちゃんもきっと 「ありがとう」 の あとの言葉に困るだろう。
それでも喜んでくれる父だということも 知っている。

  いつまでも ぎこちない父娘です。