私が入社した頃の田中先輩は
「アドバイスが欲しい時は自分から聞きに来い。僕からあれこれ言うことはない。」
と、言っていた。
見るからに切れ者だったので、見るからにアホな私からすると 一番苦手な先輩だった。
―― あれからかれこれ。
田中先輩はこちらが聞いてもないのにあれこれ言ってくる。
会う暇がない時は書いてくる。 読みづらい。
まるで小姑のように隅をつついてくる。痛いところをついてくる。
痛くて読みづらいメモは 捨てられず心にかさばる。
私が知る中で誰よりも放送を愛している田中先輩は 今では誰よりも尊敬する先輩だ。
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私が入社して数年経った頃、寺尾君が南海放送に入社してきた。
同じ名字の後輩が入ってきたのでそれなりに気にとめていたが、彼は見るからにだらしなかった。
親しくなっていく内に彼のお母様の名前が‘英子’だとわかった。
―― 遥か昔。
私が田舎の高校生だった時、ひょんなことから自分と同姓同名の人が松山にいたことを知った。
それが、寺尾君のお母様だった。
70僧イ譴芯で、何の縁もない人にほのかな親しみを覚えたことを覚えている。
10年の時を経て 縁は繋がった。
―― あれからかれこれ。
寺尾君はいつのまにか見るからに 艶アデオス男。 (賛否両論はさておき)
服装などどうでもいいと思ってるんだろう君は!・・と思えた入社当時とは大違い。
たまに私のファッションチェックをしてくれる。
昨日TVに映った授賞式の髪型はどうかと思ったけどさ。 ・・それもさておき
彼のいいところは、何より家族を愛していることです。 名前だけの偽母(私)もうれしい。
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小姑と弟のようなふたり。
南海放送の中で私を泣かせる番組を作るふたりです。
あ・・まだあとふたりいます。