何となく心地よい夢の続きで目が覚めた
まどろんだまま壁時計を見たら、針は8時半をさしていた

  ――― ・・は、8時半っ!!?

8時半、それは会社にいるはずの時間
8時半、それはあと10数分でニュースを読む時間

時計を2度見した後、覚めきらない頭で考えた
なぜ? 目覚ましは? かけ忘れた?
いやそんなことは もうどうでもいい、
奈緒ちゃんに電話して会社に急行してもらおうか?
いや、彼女のかけ足より 私のスキップの方が早い

そんな事を考えてるより まず行かなければっ!

さすがの私もパジャマのまま会社に行った事はなかったが、
そんな事は言ってられない
ロングコートを羽織って家を飛び出した

少し冷静になれば、間に合うのだ
よくぞギリギリ目が覚めた、えらいぞ私
焦ってはいけない、焦ってはいけない・・

  ――― ん?

冷静になると見えてくるものがあった ―― 街の景色
明るいと言えば明るいが、8時半にしては太陽が低い・・
車も走っているけれど、交通量はどちらかと言えば・・ガラン?
この辺になると、うすうす感じていた ―― 8時半じゃないな

けれど、時計をもっていなかったし、
なにせ、ニュースの時間がせまっているので、会社に急いだ
バタバタと会社に着いて、何事もないように守衛さんに挨拶をして、タイムレコーダーを凝視した

  ―――  5:47  ・・・  でしょうね。

取り繕ってデスクまで行こうかとも思ったけど、どう考えても用がない
パジャマのまま、ヤマンバヘアの女ができることなど何もない。
うん、帰ろう。
守衛さんに多くを語るでもなく、そろりと家路についた

うちの壁時計が止まっていたのか?
いいや、壁時計は動いていた
と、いう事は、私が

5:40 の針を 8:30 と見間違えたのだ

自分の間抜けさに軽く打ちのめされていると
目覚ましが、鳴った
もう6時 ――― モウロク・・

セーフだったけど、ギリギリアウトな朝