鏡の前に立つと
「 幸福の王子 」 を思い出す・・
美しい宝石をちりばめられた王子像
そのふたつの瞳はサファイアだったろうか、それともエメラルドだったか・・
けれど困っている人の為に
ひとつずつ宝石を分け与え
終にはみすぼらしい姿になってしまう
⋆ ⋆ ⋆ ⋆ ⋆
ある日、お風呂場の電球が切れた
いざ入らんという時に換えの電球はない。
そうだ!
洗面台の左右に付いている電球
とりあえず2つも必要ないだろうと
右の電球を応急でお風呂場につけた。
風呂場はパッと明るくなって安心を運んでくれた。
するとほどなく、トイレの電球が切れた。
これは困ったな・・今から買いに行けない
そうだ!
顔を照らす灯りがなくても不自由はしないだろう・・
洗面台に残った左の電球をトイレに付け替えた。
トイレはパッと明るくなった。
洗面台の事は忘れてしまった
スイッチを入れても明るくならなかった時に
やっと思い出して視線を上げる
さほど感謝もされず忘れられていく
洗面台のぽっかり空いたソケットを見ると
「幸福の王子」の瞳を思い出す・・
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はよ買うたげて。