郵便受けを開けようと思ったら、ロックが掛かっていた。
「 ・・?」 ・・・ 「 !!! 」
うちのマンションの郵便受けは ご丁寧にダイヤルロック付きだが
人を疑うことを知らない寺尾さんはダイヤルロックの設定をしないまま暮らしていた。
なのに掛かっているのだ、ロックが!!
引っ越してから1年半掛けた事もないのに!
―― ま、いっか。
・・・と、いつもの調子で‘困った事は後回し’にしようとした瞬間、思い出した!
「母ちゃんから、速達が来るんだったーっ!」
なんと今日に限って田舎の母ちゃんから速達が届くことになっている。
母ちゃんから速達が届くことなんて、人生の中で何度あることかっ!
誰だっ!郵便受けをロックしたのはっ!
推測 速達を配達してくれた郵便屋さんが「大事な物だから」と気を遣って。
(もちろんこの場合、ダイヤル設定は当然してあるものとしての心遣い・・・ 優しくしないで。)
推測◆郵便受け荒らし
(開いちゃったラッキー♪と思ったが何もなかったのでロックして帰った・・・閉めんでええけん)
推測:バカちん寺尾が昨日郵便物を取った後、無意識でダイヤルを回した。 ・・・・ ありうる。
右に1回とか左に3回とか回して開くかどうか試してみたいが、なにせ元々の設定をしていないので、
へたに回すと 余計どろ沼に入ってしまいそうで ダイヤルは回せない。
それでも何とか中の物を取り出せないかとシラウオのような指を投入口に差し込んでみるが、
指先に何か郵便物のようなものが触れるだけで、もちろん取り出せるはずなどない。
車に鍵を閉じ込めた時、少しだけ開けていた窓の隙間から手を突っ込んで悪戦苦闘した事を思い出す。
もがけばもがくほど、投入口に挟まれた手の甲が赤くなってゆく ・・・ イタタ。
うちのマンションには ご丁寧に防犯カメラも付いているのだが、今の私は不審者以外の何者でもない。