『自民党県連の研究』③新県議、選択という試練

オピニオン室

『第一部・分裂の深層③~新人県議、選択という試練』

 愛南町の県議選で、34歳で初当選した保守系の中田晃太郎さん。

自民党が分裂している県議会で、自民、あるいは志士のどちらの会派を選択するか? 選挙直後の4月10日、取材しました。

 中田さんは塩崎恭久衆議院議員の秘書を6年間、務めた経歴を持ちます。

 一方で、中田さんの後援会長も務めた愛南町の清水雅文町長は「後援会としては、中村知事と近い、志士に入ってもらいたい」と話していました。

さらに、「(もし、そうでないなら)次は、応援しないぞ、という声が出てくる」とまで話しました。

 選挙用パンフレットには、中村知事とのツーショット写真も・・・

私が取材した10日、中田さん本人は「後援会の意見も聞き、広い視野から(会派の選択を)考えたい」と話していました。

◆早かった決断

そして、1週間後の17日。

 県議会に「志士」を訪ね、会派入りを伝えました。

私は、10日の取材時の”雰囲気”より「決断が早いな」と感じました。

会派選択(あいさつ)後の翌日18日、志士を選んだ理由を聞きました。

(Q) 「志士」を選んだ理由は?

(A) 応援してくれた自民党系の町議や、応援してくれた人たちと相談し、みなさんの総意として「志士」入りを決めました。

(Q) 塩崎代議士との関係に今後、変化は?

(A) 関係は何ら変わりません。筋を通せば大丈夫な話。本当は週末(20日~21日)にお会いして、報告する予定でしたが、17日に取材を受けたので、夕方のニュース報道までに塩崎代議士に電話を入れ、志士入りを報告しました。

(Q) 反応は?

(A) 「おお、そうか。支援者の気持ちがあるから、そうだろうな」とおっしゃっていました。

新人議員とは思えない、堂々とした取材対応でした。

◆”早い決断”は気のせい?

一方で、「(決断が)少し早いな」と感じた印象は、気のせいなのか?19日に再び愛南町を訪ねました。

 中田さんの選挙対策本部長を務めた愛南町議と、実際に選挙を応援した町議、2人から話を聞くためです。

 選対本部長を務めた佐々木史仁町議は、私が「少し早いな」と感じた、中田さんの志士入り表明を「タイミングが良かった」と受け止めていました。

 さらに、保守系無所属で、同じく中田さんを応援した那須芳人町議も「このタイミングでの決断は、早くて良かった」と声を揃えました。

お2人の言う、「タイミング」とは何を指しているのでしょうか?

◆”数の戦い”は最終段階、ほぼ見えた?

きょう(23日)、県議会の正副議長選挙の日程が来月15日に決まりました。

実は、この記事も23日午後5時現在、最終パートを書き加えています。

印象を率直に書きます。

新人県議にとって、会派の選択は”厳しい選択”だったと思います。

”辛い選択”になった県議もいるでしょう。

「傷を負った」(幹事長経験者)県議もいます。

「これから購(あがな)わなければならない」(議長経験者)県議もいます。

しかし、私の記者経験から言えば、「選択する勇気を持つ」ことは、政治家にとって大切な資質です。(どちらにも所属しないという”選択回避”もあるのですから)

連載記事は次回も続きます。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(57) 1988年南海放送入社後、新居浜支局、県政担当記者を経て現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、「資本論」(マルクス)や「21世紀の資本」(ピケティ)など資本主義研究が趣味。

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