『第一部・分裂の深層②~保守の美田はどこへ~』
改選後、県議会・保守勢力の勢力図です。
(4月8日現在)
自民は東予と中予に強く、自民から分裂した志士は、南予に強いことが分かります。
「南予は(保守にとって)かけがえのない美田」
『保守王国・愛媛』の自民党による統治システムを創った、白石春樹元知事の言葉です。
一次産業が基盤の南予は保守層が多く、自民党にとっては、かけがえのない”票田”(美田)でした。
その「美田」で、自民党内の分裂とはいえ、志士の”分離独立”への参加人数が多いのは、なぜなのでしょうか?
愛媛県最南端の自治体、愛南町です。
3期目の清水雅文町長は、県内で唯一、高速道路が届いていない地域の現状に「国に陳情に行く時は、野党に行っても役に立たない。与党にお願いしないとダメ。自民じゃないと」と話します。
そして、麻酔科や脳外科医などの欠員で、緊急の手術が出来ない医療の現状を「助かる命も助かっていない」と悔しがり、「地域の身近な問題を、協力して解決してくれるのは中村知事」と断言します。
さらに、「中村知事と距離が近いのは志士。自民は、志士と比べたら、中村知事と距離があると感じている」とはっきりと語りました。
いきなりの核心をついた発言に、私が「これ、書くのを前提に聞いていますけど・・」と念を押すと、「えっ!違うんですか?」と逆に、不思議がられました。
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町民に”密着した利益”を優先する自治体の首長にとって、『国政は与党(自民党)』、『県政は現職知事(役に立つ場合)』というのが、”保守政治の王道”なのでしょう。
現在の中村県政と、白石元知事時代が異なるのは、『白石元知事は、自分自身が、自民党そのもの』だった点です。
白石元知事は、まさに”党人”でした。
自民党県連の、いわば”オーナー”でした。
一方、中村知事は、自民党の”党人”ではありません。
もちろん、オーナーでもありません。
つまり、『知事支持=(そのまま)自民支持』(その逆も)とならない構図が生まれています。
ここに、自民党1枚岩に”亀裂”が生じる『わずかな歪(ひづみ)』が生じました。
ところで、今回、取材先に愛南町を選んだ理由は、1人区の愛南町で初当選を果たした中田晃太郎さんの経歴に興味を持ったからです。
34歳の若さで初当選した中田さんは、塩崎恭久衆議院議員の秘書を6年間、務めた経歴を持ちます。
一方、選挙用パンフレットには、中村知事とのツーショット写真も・・・。
保守系を自認する新人県議、中田さんは、自民と志士、あるいは維新、場合によっては無所属・・・。
どの会派入りを選択するのか?聞きました。