愛媛県には素晴らしいテニスコートがある。2017年の愛媛国体に向けて改修された県総合運動公園のテニスコートだ。全16面。サーフェスは全豪オープンの会場と同じ塗装(リバウンドエース)が使用されている。伊達公子さんや車いすテニスの国枝慎吾選手など世界のトッププレーヤーも「このサーフェスは全国的にも珍しい。いいコートですね」と口を揃える。
今月8日~15日まで(1日雨天順延)愛媛自慢のテニスコートを使用したプロテニスの国際大会が行われた。「ITFユニ・チャームトロフィー愛媛国際オープン」。この大会は愛媛県テニス協会が「愛媛から世界にチャレンジ」・「地域の活性化と競技力向上」をコンセプトにITF(国際テニス連盟)の公認を取り付けて去年から始まった西日本唯一の「ITFワールドテニスツアー」だ。
そもそもプロテニスの大会はピラミッド型になっており錦織選手や大坂選手が活躍しているグランドスラム大会(ATPワールドツアー)を頂点に「ATPチャレンジャーツアー」「ITFワールドテニスツアー」など大会の規模によって出場資格が厳格に定められている。その指標となるのが「ATPポイント」といわれる世界ランキングポイント。今回のITFワールドテニスツアー愛媛国際オープンはATPポイントの加算対象大会ということもあり世界ランキングを取得したい若手を中心に48人の選手が参加した。
トーナメントディレクターは愛媛県テニス協会普及・強化委員長の秀島達哉さん。秀島さんは伊予銀行テニス部創成期の選手でその後監督としてチームを日本リーグ1部に押し上げるだけでなく、えひめ国体・福井国体の2連覇に貢献した人物だ。秀島さんはこの大会を「レベルの高い本物のテニスを特にジュニアの選手に見てもらいたい」と話す。
また大会の期間中「ジュニア」「一般」「レディース」「キッズ」「車いす」など様々なカテゴリーのクリニックが組まれていることも特徴で「テニスの普及」にも力を入れている。目玉はテニス界のレジェンド伊達公子さんのテニス教室。およそ120名のジュニア選手が目を輝かせながら伊達さんの言葉に耳を傾けていた。
さて、試合は世界ランキング398位の関口周一プロが世界ランク278位の仁木拓人プロを破ってシングルス初優勝。雨で1日伸びて8日間になった大会のフィナーレを飾った。
去年この大会で優勝した徳田廉大郎選手はATPポイント27を獲得し、現在グランドスラムの予選出場が見えてきている。さらに去年この大会に出場した田島尚輝選手は、去年の全仏オープンで錦織選手以来となるジュニア部門のタイトルを獲得した。
「愛媛から世界へ」
来年もこの大会から目が離せない。