地域や学校にもどる糧

ニュース解説

昨年末開かれた、小児がんなどで長期入院をしている子供たちの学習の問題を考えるシンポジウムで、県内で学習支援ボランティアをしている団体の活動が紹介されました。
難病の子どもや家族をサポートする松山市のNPO法人ラ・ファミリエです。

病気療養中の学習支援に加え、退院した後の生活や、復学する際にどんなことが起こるかを一緒に考え、実際に学校にいき、病気の状況や配慮してもらいたいことなどを学校に伝えたりしています。

「(療養中は)病気を治すということが中心になってしまうので、勉強は後回しになってくる部分もあるんですが、実は勉強はとても大事で、その子が、地域や学校に戻っていく糧になっているのかなと思うんです」と、理事の西朋子さんは言います。

《どんなことでもまず相談してください、全力でなんとかします!と理事の西朋子さん》

学習支援のボランティアは、愛媛大学医学部や教育学部、県医療技術大学の学生さんたちが、子どもの自宅に出向いたり病院内で行ったりしています。
小児科医や看護師、教師を目指す学生にとっては、子どもたちのリアルを知るいい機会でもありますが、子どもたちにとっても大きな支えになると、西さんは言います。
「親には親の役割、医師には医師の役割がある。子どもは病気のことは友達にも相談できない。誰にも言えない話を学生さんには話してくれる。そんな第3者の立場で話を聞いてあげられる存在が大事」-。

もし自分が病気になって長期入院しなければならなくなったら、それだけでもつらい。仲良くなった友達とも離れ、苦しい治療にも耐え、ようやく退院となったけれども、何か月も離れてしまった学校の授業についていけるのか、友達のグループに入っていけるのか、不安で押しつぶされそうになるかもしれない…
そんなとき、兄や姉のようにじっと話を聞いてくれる存在は、どれほど心強いことでしょう。
そしてそんなボランティアの経験を通じて、子どもの心に寄り添える小児科医や先生が誕生していくことも頼もしく感じます。


《事務所内には支援イベントで制作した子どもたちの作品が並びます》

病気療養中の子どもの学習支援について、県内では、高校生の「院内学級」はなく、小中学校の院内学級も数か所のみで、体制はまだまだ手つかずに近い状況です。
子どもにとっての社会は、学校です。
社会に不安なく戻れる体制を早く整えるのが、大人の責務だと感じました。

NPO法人ラ・ファミリエ理事の西朋子さんへのインタビューは、きょうの「ニュースな時間」18:30頃から放送します。

NPO法人ラ・ファミリエ

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この記事を書いた人
永野彰子

入社32年目、下り坂をゆっくり楽しんで歩いています。
ラジオ「ニュースな時間」で出会った人たちの、こころに残ることばを中心にお伝えできればと思います。

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