ずいぶん待たされている梅雨入り。気象予報士水口佳美さんの月曜日の予想では、金曜日ごろだとか。先週に続き、水口さんに注目します。
◆自信のない人生からの奮起
大学受験も就職活動も思うようにいかず、何か自分の人生で、自信を持てる証(あかし)が欲しいと一念発起した気象予報士の勉強。家事と育児に追われながらも、7年かけて資格を手に入れました。(前回のおはなし)
仕事の範囲も広がり、忙しくも充実した毎日を送っていますが、それ以上に、大切なものを得ることができたと言います。
◆子どもへの「希望」って?
多くの親は、子どもが生まれると、まず元気で、そして、のびのびと自分の好きなことをしてくれればいい、と思います。私自身もそうですが、親って、子どもの成長に伴って欲張りになるんですね。勉強ができるようになってほしい、英語がしゃべれるようになってほしい、スポーツが周りより得意になってほしい、音楽が…。わが子に、「希望」というベールで包んだ「親の欲望」を押し付けてしまいがちです。それがさらに暴走して、テストをもらうたびにイライラしたり、もっと勉強しろ、と叱ってしまったり。勝手に親の欲望を押し付けられた子どもにとっては、たまったものじゃないとは思いますが。(自省を込めて…)
そんな話をすると、彼女は、「私、よくないかもしれないけど、子どもの成績って、気にならないんですよ」と笑います。
◆人生で初めて学ぶ楽しさを知る
先生や親の言うことをよくきく、いわゆる優等生だった水口佳美さん。成績を求められ続ける学生時代、「なんでそんなに成績成績といわれんといかんのよ」と心で反発し、勉強が嫌で仕方がなかったといいます。
「でも、本当にやりたい、と思うものが見つかった時に、夢中になって勉強するのがわかりました。気象予報士になりたいと思ったときに、私はどんなに体がきつくても、勉強が楽しかったし、人生で初めて学ぶ楽しさを知りました。」
◆「したいこと」に出会うとき
毎回のテストや、1学年、小中学校などの短いスパンではなく、人生という長い軸の中で、子どもが自ら成長したいと思うときが必ず来るはず、と言います。
「子どもたちには、好きなこと、したいことを見つけて生きなさい、って言ってるんですよ。失敗しても、頑張ったらできるということを自分自身が証明できたし、それが自信にもなったから。」
◆子どもからもらった宝物
気象予報士、フリーアナ、ディレクター、そして2児のシングルマザーとして、忙しい毎日を送る、水口佳美さん。
仕事の時間も不規則で、心も体も疲れたとき、バッグから取り出すのは、小学生の娘たちからの手紙です。
忙しさでついつい言い争いになってしまった翌朝や、仕事で疲れ切って帰宅した夜、1枚の紙きれがテーブルに乗っています。
「わたしはおかあさんのちからになりたい」-。
水口さんの大切な宝物です。
このことばを胸に、またしなやかに闘ってゆく水口佳美さん。
その背中を見つづける娘さんたちも、きっと素敵な大人になっていくと思います。