11月前半の投票が有力な
次の衆院選では
愛媛2区から国民民主党の公認候補として
石井智恵さん(53)が立候補を予定しています。
石井さんは元県議会議員
(松山市・上浮穴郡選挙区)で看護師。
現在、県内の衆院選(小選挙区)
立候補予定者では唯一の女性です。
県議会では約1年間、
保守系会派で中村知事に近い
「愛媛維新の会」に属していましたが、
コロナ危機に対する
「県議会の動きがあまりにも鈍い。
議員発の政策立案に積極的でなく
県の施策を議員が邪魔しちゃダメ・・・
という雰囲気がある」(石井さん)。
「コロナは大変な危機。
自分のエネルギーを
別の場所で発揮したい」(石井さん)と
国政への挑戦を決意しました。
しかし、国民民主党は
旧国民民主党と希望の党などとの
複雑な分離、合流などを経て
「愛媛県内の組織は消滅した」
(国民民主党関係者)という状態。
組織のない、そして知名度も低い新人が
衆院選を実際に戦えるのでしょうか。
事務所は松山市味酒町と旧北条市、
今治市の3か所にあります。
松山市の事務所を訪ねました。
◆スタッフは4人、うち3人女性
みんな仲良し?
「これが最高意思決定機関」
(国民民主党愛媛県第2区総支部
永野護幹事長)という組織は4人、
意思決定はいたってシンプルです。
幹事長の永野護さん(46)によると、
「これまで事務所というと
典型的な上意下達の男性社会で、
時に怒号が飛び交うなど
自由に意見を交わす空気がなかった」。
「集会ひとつとっても
例えば暑い中、有権者を立たせたままで
一方的にしゃべるなどホスピタリティ ゼロ。
女性の視点がまるでなかった。
私たちは女性目線で選挙に臨む」
(永野さん)。
確かに事務所は、スタッフ4人中、
3人が女性(候補者本人含む)で、どこか
”ホスピタリティ”があるようにも見えます。
「う~む、まったりとした雰囲気だな」(私)
でも、
「こんなんで票が獲れるのかな?」(私)。
◆どぶ板とネットを組み合わせた
ハイブリッド型選挙
「組織も地盤も何もない」(石井さん本人)
そんな中、
「どこにでもいる、普通の人でも
国政選挙で当選できる夢を
みんなに示したい」(石井さん本人)。
その手段がネットです。
しかし、よく話を聞くと
単なるネット選挙ではありません。
いわば『ハイブリッド型』なのです。
1.本人(候補者)は徹底したどぶ板
石井さん本人は
一人でも多くの人に直接会って、
人柄や政策、政治への熱量を伝える活動に
特化します。
2.石井ファンをフォロワーに
SNSでシェア、リツイートで拡散
本人が直接会える人数は限られるため
SNSでレバレッジをかけます。
具体的には、「ネット担当」班が
毎日、動画を配信するなど
SNSのフォロワー等を増やし、
シェアやリツイートで拡散を図ります。
つまり、従来型のどぶ板と
IT時代のネット選挙を組み合わせ、
それぞれの強みを活かそうという戦術です。
もちろん、こうした手法は
これまでの県内選挙でもみられました。
しかし、SNSで拡散効果
(レバレッジ)を上げるには、
①十分な準備期間が必要で
(例えば、相当数の
フォロワーを育てておくなど)
拡散を
②どの時点でフル回転させるかなど
(有権者が実際に
投票行動を決定するのは投票の直前)
SNSの使い方、効果の特性を
よく理解する必要があります。
さらに、
③「どぶ板」班と「ネット」班の
緊密な連携、
効果・浸透に関する結果の
それぞれへのフィードバックなど
合理的な組み合わせを
知る必要もあります。
これまでの県内選挙では
「ネット選挙の実際の効果は
よく検証してみないと分からない」
(ある当選した市長)というのが
現状でした。
この壁を超えられるのか?
「既存の後援会は高齢化して
動きが鈍くなっている。
”昭和の選挙”ではない選挙で
戦いたい」(永野さん)。
ネット戦略に力点を置いた戦いが
実際にどの程度、
人口減、高齢化が進む愛媛で有効なのか、
次の衆院選取材のポイントの一つです。
*******
衆院選 愛媛2区には
自民党、現職の村上誠一郎さん。
共産党、新人の片岡朗さんが
立候補を予定しています。