決戦!衆院選③共産~野党共闘の最大値

ニュース解説

共産党も加わり、
県内でも準備が進む野党共闘。

その実力は?

仮説となる数字を表にしました。

参議院議員、永江孝子さんの得票は
2019年参院選(全県選挙)で
獲得した票数です。

比較したもう一方は、
2017年衆院選小選挙区で
自民党候補が各市で獲得した票。

永江さんが全て上回っています。

永江さんは「完全無所属」を掲げた
2年前の参院選で、野党共闘の可能性を試し、
県内でその”最大値”を確認したといえます。

◆机上の数値だが、野党共闘の狙いは
ここにある

もちろん、この数字は乱暴な比較です。

①衆院選は政権選択選挙で
有権者の選択の意識が異なる。

②永江さんの戦った相手は
自民党新人のらくさぶろうさんだった。

③投票率や
例えば、2区・4区は保守分裂選挙に
なっていたなど
比較には無理な条件がある。

④そもそも今回、
野党が共闘してかつぐ候補者は
永江さんではない。

しかし、少なくとも永江さんの票は
反・非自民票に、
保守票の一部を取り込んだ票であり、
永江さんが愛媛全県で獲得した票は
335,425票。

これは自民党の
小選挙区候補4人の得票数の合計
309,945票を上回ります。

つまり、野党共闘には可能性があるのです。

◆政策の調整は無理?

一方、課題もあります。

それぞれの政党・勢力で政策が異なり、
「選挙協力は、実際の現場はかなり複雑で
簡単なもんじゃない。
永江さんも共闘の調整役はできない。
まとめ役か、まぁ、中心・・・みたいな存在」
(野党共闘に参加する政党関係者)。

さらに保守層には、
共産党の受け入れがたい政策があります。

◆暴力革命、天皇制、資本主義について
聞いてみた!

日本で保守層が、一般に
”アレルギー”を起こすといわれる
共産党の政策について聞きました。

質問したのは
共産党愛媛県委員会の選対部長で
元西条市議の一色一正さん(71)。

20歳の時、共産党に入党したそうです。

質問①
「日本共産党は
国家体制を変えるために
暴力革命という手段を用いる可能性は
あるんですか?」

<一色さん>
「共産党は平和主義を守り抜いたし
守り抜く党。
暴力革命なんて
党の姿勢としてあり得ない。
党にとって平和は絶対」

質問②
「天皇制はどうなんでしょうか?」

<一色さん>
「憲法は、前文を含めて守るという立場。
最終的には国民が決めること。
共産党が意思を持って何かする
ということはない」

質問③
「資本主義はどうなるんですか?」

<一色さん>
「共産主義社会を究極の目的としているが
資本主義社会の枠内で正してゆく。
その範囲内で出来ることはいくらでもある」

◆「連合軍」型ではなく、
「最大公約数」型で結束できるか?

連立政権の場合、複数の政党が
異なる立場(価値観)に基づく政策を調整し、
より多くの国民に受け入れやすく
恩恵が及ぶ政策を実行できれば
国民の福祉に貢献できます。

政権内部でのけん制も働き、
チェック機能も期待できます。

例えば、菅政権の目玉政策の1つ
不妊治療への保険適用は
「そもそも公明党が主張していたこと。
自民党に盗まれた」(公明党周辺)
ですし、
去年4月、公明党の山口那津男代表が
首相官邸に当時の安倍晋三首相を訪ね
国民1人あたり10万円給付を
直談判したシーンは印象に残っています。

例えれば、連合軍型といえるでしょうか。

これに対し、
野党共闘は自公連立に比べ
”連合”する政党・勢力の数が多く
理念も政策の隔たりも大きいという
難題を抱えます。

”連合軍”を形成するのはなかなか困難で、
共に選挙を戦える
合意点を見つけ出し、
その合意の達成に集中して取り組む、
いわば、「最大公約数」型を目指すのが
現実的です。

◆SNSは「最大公約数型」組織形成に
適したツール

今、組織化された従来型の組織が、逆に
機能しにくくなっている現実もあります。

組織のメンバー1人ひとりの
価値観が多様化したことで、
縦型で
かつ、1つの指揮命令系統では
個人それぞれの”実力”を発揮させることも
”期待”に応え、”満足”を与えることも
難しい現状が生まれています。

IT社会で生まれつつある
SNSでつながれたネットワークは
従来型の組織と異なり
自然発生型であり、
下から湧き上がるベクトルを持ち、
明確な指揮命令系統もありません。

もちろん、SNSには欠点もありますし
依然として、投票行動を決定づけるのは
直接、顔と顔を合わせての
コミュニケーションと断言する
選挙関係者は数多くいます。

*******

しかし、SNSが今回の野党共闘で
どのような役割を果たすのか?

選挙取材の大きなテーマです。

そういう意味で
野党共闘の行方と結果は、
将来の愛媛の政治に与える影響の大きい
注目点となっています。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(56) 1988年南海放送入社後、新居浜支局記者、県政担当記者を経て、報道部長。現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、資本論研究が趣味。

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