ニュースのウラカタ#23 「名月中継のブタイウラ」

オピニオン室

ニュースのウラカタ#23 「名月中継のブタイウラ」

9月21日”中秋の名月”。
中秋の名月とは、
旧暦の8月15日に見られる月のことです。
意外にも、中秋の名月=満月となるのは8年ぶりだそう。

ニュースCH4では、
松山城から、このレアな名月を生中継でお伝えすることにしました。

リポーターは、”午後6時40分のマドンナ”こと
気象予報士の水口佳美さんです。
まずは、実際に放送された中継シーンをご覧ください。
番組冒頭、1ポーズ目。

雲は厚く、月は見えないかもしれません…

しばらく後、中継2ポーズ目。
最新の月見団子の話題などで
月が顔を出すまでの時間を持たせます。

3ポーズ目は、月が見えるはずの時間帯。
果たして中秋の名月は…

ミラクル!!!!!!!
一瞬だけ、雲の隙間から満月が顔をのぞかせました。

ところで、
今回の名月中継には、2つの不安要素がありました。
①天候=曇りや雨で、月が見えないときどうするか
②時間 =月の出の時刻(午後6時35分)と実際に現場から月が見えるタイムラグ

そこで、スタッフが前日、
松山城の中継ポイントに行き
①への対策として、月を撮影(満月に近い)
★これが前日の月↓

②への対策として、
月の出の時刻と実際に見える時刻の差を計測しました。
タイムラグが約13分でした。

中継当日は午後から雲が広がり、
月が見えるかどうか微妙なところ。
そこで、前日撮影した月をVTRで紹介する演出を加え、
月の出の時刻に13分を加えたタイミングを
ターゲットに中継ポーズを配置する構成にしました。

結局、ミラクルに助けられ、視聴者の皆さんに
中秋の名月をご覧いただくことができましたが、
台本を書いた私の想定外のことがたくさんあった中継でした。

以下、”想定外”を列挙しますので、
これらを踏まえて、もう一度動画をご覧いただくと
おもしろいと思います。

・松山城がコロナの臨時休業中でロープウェイ&リフト休止
→スタッフはもちろん、機材やテーブル小道具など全て徒歩で搬送(中継準備)
・リポート中に団子を試食するも水口さんがしゃべるのに苦労
→団子は飲み込むまでに時間がかかるので次は気をつけます(ポーズ②)
・生物季節観測への話題転換のきっかけとして「秋の虫の声」を想定も
山頂では秋の虫は鳴いておらず、カラスとツクツクボウシの声が…
→”最近涼しくなった”というオーソドックスな話題転換を採用(ポーズ②)
★↓天守の屋根で羽を休めるカラスの群れ

・速い月の動きと雲の動き。お天気カメラで捉えた満月が3分で雲の中へ
→急遽録画して”5分前の映像”として放送(ポーズ③)
・松山城中継カメラと本社天気カメラのアングルの違いで、
本社天気カメラでは満月が出ているのに、中継カメラでは見えず(ポーズ③)
→ほんの少しの高さやアングルの違いで見え方が全く異なることを知りました
・満月の小道具を用意してくれた水口さん
→仮に月が見えなくても、中継を成功に導いてくれたと思います。

結論…、文字通り生中継は生き物です!
おもしろい。

記者プロフィール
この記事を書いた人
宇都宮宏明

西予市宇和町出身、1996年 南海放送入社後、主にテレビ番組制作部門。
「もぎたてテレビ」のディレクター・プロデューサーなど担当。
2018年~「ニュースCH4」デスク(自称”世界で一番優しいニュースデスク”)。

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