「みんな」を考える

ニュース解説

どうすれば「みんな」に知ってもらえるのか、みんなに買ってもらえるのか、みんなに視てもらえるのか、みんなに聴いてもらえるのか…
大衆から個の時代へと言われるなか、「みんな」を掴むために、どの業界も必死で模索しています。
じゃあ、「みんな」とは何なの?

先日松山市で、博報堂生活総合研究所主催の講演会「みらい博 #みんなって誰だ」が開催されました。


講師の博報堂生活総合研究所 酒井崇匡 上席研究員

博報堂生活総研では、時代を知る調査方法の一つとして、30年にわたって同じ質問を毎年投げかけ、生活者の意識の変化をロングデータ化しているそうです。

講演の中で、酒井さんは「みんな」の時代変化を、
高度経済成長期の70年代までは、“巨人、大鵬、卵焼き”に代表される、「みんなに横並びする」時代。
バブル景気に沸いた80年代から90年代までは、DCブランドや高級品など、「みんなと差をつける」時代。
2000年以降は、SNSの浸透で、自分にあった好きなものを手に入れるといった「みんなを気にしない」時代になった、としています。

興味深いフィールド調査がありました。
街に出ると、同じファッションをした人をよく目にします。白Tシャツに黒いパンツ。夏場は、10人に1人以上、男女問わずこのファッションしてますよね。「他人と服が被る」のは、ちょっと前なら極端に嫌がられていましたが、白T黒パンの人たちは、「被っている」こと自体も意識せず、逆に、同じ感性を持つ仲間かも、と好感を持つ人すらいるというリポートでした。

個性が光る、とか、プレミアムの…といった、他人と差をつけることが消費意欲を掻き立てていた時代は終わりつつあり、いまは、自分が「好きだから」選ぶ、というスタイルになってきたと指摘します。

ならば、「みんな」は、意識されなくなったのか?というと、そうでもないのです。
自分の「好き」を探すために、やはり「みんな」を意識したり利用したりしていると言います。たとえばインスタグラムの#(ハッシュタグ)。
自分の興味あるものを検索して、「みんな」の動向を知る手がかりにしている人は多いですよね。


〔ちなみに今いちばん検索件数が多いのは「#ねこ」、次いで「#かわいい」だそう。〕

日本人のインスタにおけるハッシュタグ検索は、世界平均の約3倍だそうです。

小学生の子供が、おもちゃを親におねだりするときに必ず使うフレーズ、“みんな持っとるけん!”、というのも「みんな」。
ふだん自分自身が何気なく使っている、「みんな好きよね」や「みんな感じるよね」などのみんなとは、はたしてどの「みんな」なのか、ふと考えてみると、自分の視野の偏りや狭さを改めて感じたりもします。

「みんな」のくくりを、これまでの概念から離れて考えてみると、新しいビジネスのヒントにもなりそうですね。

この講演会のテーマは博報堂生活総合研究所のHPでも知ることができます。

※講演では、各自のスマホから特設のサイトにアクセスして、講師が時折投げかけるアンケートに回答すると、この会場の「みんな」の意見がデータで可視化されるという、参加型の仕掛けもありました。

イメージキャラクターのSayaちゃんは、バーチャル女子高生。リアル!!

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この記事を書いた人
永野彰子

入社32年目、下り坂をゆっくり楽しんで歩いています。
ラジオ「ニュースな時間」で出会った人たちの、こころに残ることばを中心にお伝えできればと思います。

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