5月15日、4月に実施された県議会議員選挙で当選した議員47人による県議会正副議長選挙が行われました。
これまで、県議会の正副議長ポストは、単独で過半数を占めていた「自民党」会派が握っていました。しかし、党内人事などをきっかけに2017年3月、一枚岩を誇っていた「自民党」会派が2つに分裂。「志士の会」が誕生しました。(当時は自民党志士の会)これを機に正副議長選挙で「自民党」と「志士の会」は対立。一昨年と去年の選挙では、これまでの慣例にならい自民党県連が党議拘束をかけて、正副議長候補を決定しました。しかし、「志士の会」が「党活動と議会活動は別物」などとして、この決定と異なる独自候補を擁立。議会改革を旗印に「愛媛維新の会」や「社民党」などと連携し、2年続けて「志士の会」が議長ポストを手にしました。
このように2つの会派の溝が深まる中、自民党県連は、2018年12月に「県連改革会議」を設置。今年のゴールデンウィークには、自民党の愛媛県選出国会議員を仲介役に「自民党」、「志士の会」からそれぞれ2人ずつが出席して、融和に向けた話し合いの場が持たれましたが、今回の正副議長選挙までに両会派の融和が実現することはありませんでした。
会派が分裂して3度目となった今回の正副議長選挙でも自民党県連は、党議拘束をかけて正副議長候補を決めた一方で、「志士の会」は、独自候補を擁立。改選後の新たな顔ぶれによる選挙となるため、両会派は、新人議員などの取り込みに最後まで奔走しました。そして、投票の結果、「志士の会」と「愛媛維新の会」、社民党と立憲民主党が新たに結成した「えひめリベラルの会」などが連携して、西田洋一議長(志士の会)、梶谷大治副議長(愛媛維新の会)が誕生しました。さらに県議会の6つの常任委員会のうち、5つの委員会で、「志士の会」側が正副委員長ポストを押さえる結果となりました。県議会の主要ポストを少数会派が握るようになって3年目を迎えることになり、本当の意味での議会改革が図られるかどうか「志士の会」を軸とする議会運営の真価が問われます。
※西田洋一議長(左)、梶谷大治副議長(右)
※2019年4月23日開催「仲良し友の会」→連携する「志士の会」、「愛媛維新の会」、「えひめリベラルの会」の議員が出席
一方、正副議長選挙への対応を巡り、2018年3月に「志士の会」の当時の幹部3人が「県連の決定に反する投票を行うなど党の規律を乱した」などとして、自民党を除名されました。「志士の会」が今回の正副議長選挙でも自民党県連の決定と異なる投票を行ったことについて、自民党県連の戒能潤之介幹事長は、「国政野党と連携して投票したことは、自民党議員として考えられないことで残念としか言いようがない。夏の参院選のことを考えながら今後の対応について協議したい」などと話し、対応に苦慮しています。
自民党が愛媛選挙区に新人候補を擁立した参議院議員選挙まであと2か月と迫る中、今回の正副議長選挙でさらに深まることとなった2つの会派の溝が、参院選にどのような影響を与えるのか注目されます。