新居浜のにぎわい復活へ!銅夢キッチン

オピニオン室

週末3月28日、
新居浜市の中心市街地に
産直市場“銅夢キッチン” が
オープンします。 

経営者は地元商店街で
婦人服販売を手掛ける男性。 

地域活性化の切り札に、
産直市場を選んだ
思いと狙いを取材しました。

工業都市・新居浜で“地産地消”

“銅夢キッチン”は、
農作物を新居浜市や西条市など
近隣の農家約70軒から仕入れる
産直市場で、
週末のオープンをめざして
急ピッチで準備が進んでいます。 

“銅夢キッチン”を経営する
株式会社銅夢市場の越智俊博社長は
「沿岸部の工業地帯にも近く、
仕事帰りの方にも
立ち寄ってもらおうと
閉店時間を
18時にしているんですよ」と
地元密着をアピールします。 

「とにかく、
地産地消の店を作りたかった」

商店街の危機感

“銅夢キッチン”は
中心商店街のすぐ近く。 

越智社長は
「店主の高齢化や
後継者不足などで
閉店が相次ぎ、
店舗数は
最盛期の600軒から約60軒と
10分の1に落ち込んでしまった」と
表情をくもらせます。 

商店街に残った店も、
肉や野菜などの
食料品を扱う小売店は
ほとんど無くなったといい、
「ある人から
『呉服や貴金属など
非日常の商品を
買うときだけ足を運ぶ
“ボーナス商店街”』とまで
言われた」と話します。 

新居浜商店街連盟の
会長でもある越智社長は
「商店街で
イベントを色々やったけれど、
どれも一過性で人が集まるのは
その時だけ。
イベント頼りの活性化策は
1つも実現しなかった」と
悔しさをにじませます。

“食”の大切さを今こそ

数が減り、残った店は
長年の固定客が利用するだけ…

こうして商店街の衰退が進んだ
新居浜市。 

現状を何とか打開したいと考えた
越智社長は、
生きる基本となる“食”の大切さを
改めて感じたそうです。 

「商店街に
食料品を扱う小売店が少ない。
つまり、生きる基本が無いんです。
“食”を大事にしないといけない。
そこで、食料品を扱い、
しかもできるだけ
地元の農作物にこだわった
産直市場を思いついたのです」

人が集まれば起業のチャンスも

オープン後は1日あたり
約800人~1000人の集客を見込む
“銅夢キッチン”。

実質的な初年度となる
2022年5月期の売上は
4億5000万円を見込み、
越智社長は
これを機に周辺ビジネスで、
起業のチャンスも
生まれてくるのではと
期待を寄せます。

「人が商売のために集まったのが
“市”のはじまり。
商店街の原点もそこにあります。
核となる
常設の産直市場があることで、
近くで何か店をやろうと
考える人が出てくるかもしれない。

既存の商店街との
関係強化もやります。

“銅夢キッチン”でご購入された方に、
商店街で使える商品券を
抽選で発行するなど、
お客さんの
相互乗り入れを実現したい」

 越智俊博社長

商店街主導の産直市場に注目

県内の産直市場の運営には、
JAが主導するタイプ、
あるいは生産者主体のものなど
さまざな形態があります。

こうしたなかで、
商店街の店主が社長となり、
商店街との
関係性を重視する姿勢を打ち出す
“銅夢キッチン”は
珍しいスタイルといえます。

「生きる基本となる
“食”の大切さに気付いた」

その発想が、
疲弊する一方の地方商店街の
活性化のモデルケースになるのか?

オープンは次の日曜日、
3月28日です。

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

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