コロナで苦境「魚の反転攻勢」策を探る

オピニオン室

今、日本全国を見渡して、

魚の中で一番の高級魚を知っていますか?

魚の町、八幡浜の漁業関係者が

口を揃えるのが、この魚です。

関係者によると4、5年前、

東京のレストランで

3キロ台が1匹40万円の値を付けたという

白甘ダイ。

この日本一の高級魚も、

コロナ禍で魚価が下落。

10分の1の値段に

なっているといいます。

”魚の町” 八幡浜の魚市場で

コロナ禍の現状と、

今後の魚の値段「反転攻勢」策を

取材しました。

▼解説動画

『コロナで苦境

「魚の反転攻勢」策を探る』

(7分52秒)

◆恐るべき魚のソフトパワー

八幡浜が”魚の町”と呼ばれる理由は

市場に水揚げされる、

その魚の種類の豊富さにありますが、

取材すると実は、

その魚(天然魚中心)を取り巻く

人のソフトパワーにあることに

気づかされます。

魚を取り巻く人は、主に

①漁業者(生産者)

②市場関係者

③魚仲買人

に分かれ、それぞれが役割分担しながら

深い専門知識や技術、

歴史的に培った様々な資産

(ソフトパワー)を結集して、

これまでの様々な苦難を

乗り切ってきたことが分かります。

◆驚きの仲買人の実力

私が特に興味を持ったのは、

魚仲買人の実力です。

八幡浜は城下町ではない

という歴史を持ち、

私は、人々に自由な気質や、

権威に頼ったり、

媚びたりすることのない

独立独歩の精神を感じていました。

魚仲買人にも、その特徴が

よく現れています。

詳しくは、

解説動画を見て頂ければと

思います。

◆自由な気質はグローバルな視点へ

古くは、八幡浜に水揚げされた魚を

竹の桶に氷詰めにし、

汽車で関西方面に

売りに行ったといいます。

運賃を支払っても

儲けが大きいことに気づいたからでしょう。

コロナで現在は細っていますが

コロナ以前は、中国に100トン単位で

輸出していたといいます。

輸出も、輸送コストを差し引いても

十分に利益が出ることに気づいたからです。

私が

「結構、グローバルなんですね?」と

驚いて質問したところ、

キャリア50年近くの魚仲買人は

「そうじゃないと、やっていけないだろう」

と当然のように答えました。

***

70歳になるこの魚仲買人は若いころ、

「家で一升瓶を空けて、

そのあと、まだ飲みに出よったぞ~」と

笑っていました。

久々に取材先で”豪快”な人に出会いました。

思わず、「そこまで飲んで

しんどくないですか?」と

聞き返した自分を

恥ずかしく思います。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(57) 1988年南海放送入社後、新居浜支局、県政担当記者を経て現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、「資本論」(マルクス)や「21世紀の資本」(ピケティ)など資本主義研究が趣味。

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