ニュースのウラカタ#3「キシャのお仕事」

ニュース解説

ニュースのウラカタ #3
「キシャのお仕事」

記者は、簡単に言えば新聞・雑誌・放送などの記事を書く人です。
ここではテレビニュースの記者の仕事を紹介します。

記者の仕事を箇条書きすると…
①情報のキャッチ
②事前取材(リサーチ)
③現場取材(テレビカメラあり)
④原稿化(映像編集)

①情報のキャッチ
私は現在ニュースのデスク(編集者)ですが、若干の記者経験もあります。
その経験から、記者の仕事で一番重要なのは、情報のキャッチ だと思っています。
他の媒体(他テレビ局、新聞社など)が知らない情報をキャッチして放送できれば、
視聴者の知りたい欲求に応えられ、局と番組の価値が上がります。

情報のキャッチには、
プレスリリースと呼ばれる、取り上げてもらいたい側からの情報提供、
季節の話題や行事など、過去の経験から分かるもの、
そして、様々な情報源にアンテナを張って”もぎとる”方法などがあります。

もちろん、”もぎとる”ことが一番重要なのですが、
もぎとり方は局によって、記者個人によって独自の方法があり、
これは”企業秘密”である場合が多いです。
もぎとりに成功すれば、いわゆる”特ダネ”になります。

②事前取材(リサーチ)
現場にテレビカメラを伴って取材に赴く前に、キャッチした情報の詳細を調べます。
ネタによりリサーチの方法は千差万別ですが、
関係者に直接話を聞く場合や、ひたすらネット検索する場合、
”特ダネ”の香りがする場合は隠密行動となります。

何をテーマに、どんな切り口で、どのくらいのボリュームで、
誰に何を聞いて放送するかを、ある程度決めて現場に臨みます。

③現場取材(テレビカメラあり)

『おうちおはなみオードブル』を取材中(3月16日 真ん中の女性が記者)
写真のように、記者・撮影者(カメラマンと呼ばれる)のペアで現場に赴き、
リサーチ結果を軸に、まさに現場で今起きていることを切り取ります。
現場で突発的に起きたことに、柔軟に対応できる記者が有能と言われます。
つまり現場では、
”おもしろいこと”に気づく力と、
準備していたAを捨ててBに食いつく決断力が問われます。

ニュースCH4のホープフル・スター 高木沙也佳記者(入社1年目)は、
まさに、気づきと決断力の塊のような逸材です。

また、テレビニュースなので、映像は超重要です。
現場で撮影者(カメラマン)に、撮影してほしいものや、
画面サイズ、アングル、動き方など指示するのも記者の仕事です。

現場で最も大切なことは、「取材させていただいている」という意識です。
忙しい中、非日常であるテレビカメラの前で取材を受けてくださるわけですから、
ありがたいという気持ちがない取材はありえません。
記者やディレクターを目指そうという方がいらっしゃれば、肝に銘じてください。
CH4の記者の皆さんも、万が一この記事を読むようなら、
もう一度腹入れしてください。何より大切なことです。

④原稿化(映像編集)
リード+本編という構成で、基本的にイップントー(1分10秒)でまとめます。
このサイズのニュースをストレートといいます。
原稿書き方は自由ですが、やはり起承転結が視聴者に伝わりやすいようです。
カコゲン(同じネタを別の記者が過去に取材し原稿化したもの)をコピペするのは禁止です。
テレビなので、インタビューや
生音(記者を介さない現場にいる人たちのやりとり)も盛り込みます。

このようにして完成した記者の原稿を、
デスクが紙ベースで編集、
その原稿に合わせて映像編集担当者(編集マンと呼ばれる)がビデオを編集、
その映像にキャスターのナレーションと字幕(スーパー)をつけ放送します。

記者の仕事は他にも、
ウラドリ、メンカク、ヨウチ、アサガケ、ジドリ、
オトヌキ、デマチ、ランチ、イキヌキ…
などなどいろいろありますが、
今回は執筆サイズを超えてしまいますので、またの機会に。

ニュースのウラカタ、次回は「デスクのお仕事」。

ネコ説得しました。クッキー(2歳・女の子)
松山市の駐輪場で30分の説得の結果、うちのこになってくれました。

記者プロフィール
この記事を書いた人
宇都宮宏明

西予市宇和町出身、1996年 南海放送入社後、主にテレビ番組制作部門。
「もぎたてテレビ」のディレクター・プロデューサーなど担当。
2018年~「ニュースCH4」デスク(自称”世界で一番優しいニュースデスク”)。

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