八幡浜市川上というミカンの”超”名門ブランド地区に位置しながら、JAに属さず、自ら販路開拓し、着実に成長している農業生産法人があります。
株式会社ミヤモトオレンジガーデンです。
従業員は11人、平均年齢は34歳。代表の宮本泰邦さんは今年、前年比120%の売り上げを目標にしていたといいます。
しかし、コロナ危機。戦後最大の経済危機に襲われました。
宮本さんは経営の舵をどう切ったのか?また、今年の全国的なミカンの需要の状況は?
12月に入り、まさに出荷のピークを迎えようとしている愛媛を代表する一次産品、ミカンの最新状況を取材し、動画にまとめました。(取材日は12月3日)
▼「今こそチャンス!ミカン農業生産法人の挑戦」
◆取材後記
宮本さんと私は古いお付き合いで、ミヤモトオレンジガーデンの成長の過程は全てではありませんが、時系列に取材で追い、目にしてきました。
その宮本さんに初めて「期待の新入社員です」と紹介されたのが、動画に登場した塚田健人さん(23)です。
埼玉県出身で中央大学理工学部を卒業後、この春、八幡浜市にやって来ました。
就職の理由にコロナは特に関係なく、元々、都会暮らしが好きではなく、地方への就職を希望していたそうです。
八幡浜市での生活の感想を「朝起きたら、近くに山や海が見えるのがいい」と話します。
こうした若者が愛媛に来てくれたことを、とても嬉しく感じました。
もう一つ嬉しかったのが、将来の目標について「この会社を、今のメンバー(11人)と一緒に大きくしたい」と語ったことです。
こういうのを本当の”夢”っていうんだと感じました。
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コロナで若者が委縮しないか心配です。
就職も「安定」や「リスク回避」を重視し過ぎないか心配です。
宮本さんと出会ったころ、八幡浜の『川上』という、ミカンでは”超”名門ブランドを背負っているのに、「なんで?わざわざ農業生産法人を立ち上げて、販路開拓を自分でゼロから始めるんだろ」と思いました。
まさに「正気か?」って感じです。
塚田さんもインタビューで、親に就職先を伝えると「ポカーン」として「正気か?」って感じだったと話します。
恐らく周りは「正気か?」と感じても、本人は極めて「正気」なんでしょう。
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今回の取材で、わずかですが荒れた園地(耕作放棄地)を目にしましたし、後継者問題が依然、大きなテーマであると聞きました。さらに人手不足は、ミカン園地で広く慢性化しています。ミカン市場の底辺には、こうした”供給不足圧力”が存在します。
宮本さんは恐らく、こうした市場の需給バランスと、根強いミカン需要を読み取っているはずです。
コロナ危機下での、本部事務所に選別機など積極的な設備投資、そして”期待の”新入社員の採用。
再び、「正気か?」への挑戦が始まりました。