”ねこを救え”

オピニオン室

「地元で演劇をやっているものにとって、“シアターねこ”の存在は宿願だった。活用すべきわれわれがちゃんと活用して生かさないと。まちの豊かさを守らないと」-。

(シアターねこ 松山市緑町)

コロナ禍のなか、全国の小劇場が存続の危機に見舞われています。
9年前、地元の演劇や音楽・ダンスなど表現者の活動の場としてオープンした“シアターねこ”も、今年の2月以降、予定していた公演はほぼキャンセル。貸館収入で運営している劇場にとって、厳しい状況が続いています。

そんな中、地元の劇団「演劇ネットワークOffice59」代表の渡部和也さんが演劇仲間に声をかけ、「シアターねこ応援企画」と銘打った公演を行うことになりました。

(渡部和也さん)

準備を始めたのは緊急事態宣言が解除になった6月。先が見えない中、渡部さんが9月に舞台をしたいと役者仲間に声をかけたところ10人以上が集まりました。
「みんなノリノリで集まってくれました。芝居は、時間も体力もとられお金儲けにもならないし、しんどいばかりなんだけど、みんな好きなんですね。お客さんと出会える場を求めているんです」-。

公演を行う場合は、通常半年以上の準備期間をかけますが、短い期間での準備が可能で、かつコロナのリスクを軽減するために、さまざまな工夫をしています。
まず、1公演の長さを通常の半分程度、1時間強としました。長尺ものではなく短編4つの作品をオムニバス形式で上演します。渡部さんによると、感染リスクは、舞台よりも、楽屋での密集状態が高いとされています。それを避けるために、1作品あたりの出演者3~4人の短編では、作品ごと出演者が入れ替わるので、楽屋が密状態になりません。
そのほか、98人の座席数を、45人以下に抑えること。お客さんの劇場への入場は、上演の5分前、着席するとそのまま舞台が始まるという流れにします。
座席数を半分とした収入減分は、公演回数を3回に増やすことで、少しでもカバーします。

出演者の一人、青野悦子さんは「母娘でほろっとする内容のものもあれば、クスって笑えたり、爆笑できるものもある。いろんな芝居が見ながら、小劇場の良さを感じてほしい」と話します。
出演者は、多くが社会人です。仕事を終えた後の数時間、2週間前からはほぼ毎日の稽古です。

(密を避けての稽古中)

「このような場があるまちは豊かなまちだと思う。それを維持するためには、活用しているわれわれが動かないと」と語る渡部さん。
舞台に息を吹き込む役者たちの思いは、9月19日20日、見る人を巻き込みながら、ウィズコロナの地域文化に新しい動きをつくりだすかもしれません。

9月19日(土)20日(日) A12:00~ B15:30~ C19;00~ の各3公演
「シアターねこ応援企画 1時間ちょい劇場~演劇ネットワークOffice59短編集~」
全公演 2000円(完全予約制)
演劇ネットワークoffice59 FB

シアターねこ(松山市緑町)

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この記事を書いた人
永野彰子

入社32年目、下り坂をゆっくり楽しんで歩いています。
ラジオ「ニュースな時間」で出会った人たちの、こころに残ることばを中心にお伝えできればと思います。

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