■自民党総裁選告示
2020年9月8日。
先月、辞意を表明した安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選挙が告示されました。
この総裁選には、届出順に次の3氏が立候補しました。
・石破茂元幹事長(63)
・菅義偉官房長官(71)
・岸田文雄政務調査会長(63)
投票日は、9月14日(月)で、安倍政権の基本路線を継承するかどうかを争点に7日間(投開票日を含む)の選挙戦がスタートしました。
■総裁選の仕組み
事実上の首相を選ぶこととなる自民党の総裁選挙。
その仕組みを見ていきます。
今回の総裁選は、安倍総裁(首相)の任期途中での辞任のため、原則である全国一斉の「党員・党友投票」は行われず、党大会に代わる両院議員総会で選出されることになります。
国会議員票(衆参両院):394票+47都道府県連に各3票:141票=計535票
自民党員は昨年時点で約108万人に上るため、党員投票が実施されていたらその意見が国会議員票と同数の394票として反映されるはずでした。
■自民党愛媛県連の対応は
総裁選では、前述のとおり、47都道府県に各3票が均等に割り当てられます。
この3票をどの候補者に投票するかについて、愛媛県連は、予備投票を行うことにしました。
県連によると、愛媛県内の自民党員と党友はあわせておよそ2万人。
この2万人を対象に予備投票を行い、得票数に応じて票を割り当てる「ドント方式」を採用することにしています。
投票用紙は、告示前日の9月7日に発送作業を行いました。
投票の締め切りは12日で、総裁選前日の13日の午後に松山市内で開票作業を行います。
■石破、菅、岸田3氏の訴えは
石破氏は、「納得と共感」をスローガンに安倍政権からの「リセット」を訴えています。
そして、これまでの東京一極集中を解消し、地方創生に繋げる「グレートリセット」を提唱。
さらに「森友・加計学園問題」などを念頭に政治家は真実を語るべきだと訴え、「反安倍」の立場を鮮明にしています。
菅氏は、官房長官として支えてきた安倍長期政権の「継承」を訴えています。
これまでに自民党内の5派閥の支持を取り付け、優位に選挙戦を展開している菅氏。
政策面では、アベノミクスを継承し、さらなる改革を進めると、「安倍路線の継承」を明確にしました。
岸田氏は、「分断から協調へ」と、強く訴えています。
外務大臣などとして安倍政権を支え、実績を残してきた岸田氏。
このため、安倍政権を「批判」することはできず、「継承」を訴えると岸田氏の独自カラーが出せないことから選挙戦では、苦慮する姿も見え隠れします。
■合流新党「立憲民主党」新代表に枝野氏
2大政党制を担う野党第一党を目指して、「立憲民主党」と「国民民主党」などが合流新党を結成します。
その新代表を選ぶ選挙が、自民党総裁選の選挙戦の最中、9月10日に行われました。
当初のスケジュールに総裁選が重なった形で、埋没気味となる中、合流新党の代表選挙は、国民民主党の泉健太政務調査会長(46)と立憲民主党の枝野幸男代表(56)の2人による一騎打ちの戦いとなりました。
代表選の投票権を持つのは、合流新党に参加する「立憲」88人、「国民」40人、「無所属」21人の計149人。
代表選挙では、「立憲」票を手堅く固めた立憲民主党の枝野代表が107票を獲得し、合流新党の新代表に選ばれました。
そして、合流新党の名称は、「立憲民主党」に決定しました。
この合流新党を巡っては、2大政党制を担う大きな塊として、期待が寄せられる一方で、選挙目当ての野合との批判もあります。
また、合流する際に2つの政党の政策面の不一致などにより、国民民主党が分党する事態も生じています。
合流新党は、9月15日に結党大会を開き、正式に誕生しますが、枝野新代表には、党内融和や早期の解散がささやかれる次期総選挙への対応など、難しいかじ取りが迫られます。
■解散総選挙は
自民党新総裁の任期は、安倍総裁(首相)の任期が切れる来年9月末まで。
9月14日に自民党両院議員総会で、無記名投票により新総裁が選出され、16日に召集予定の臨時国会で第99代首相に指名される見通しです。
一方、野党は、立憲・国民両党と無所属議員が合流し、再び大きな塊となりました。
このように与野党ともに大きく動き出す中で、早期の解散風も吹き始めています。
首相の専権事項である“解散”を“誰”が“どのタイミング”で打つことになるのか、自民党総裁選の結果と共に目が離せません。
※次回記事更新は、9月17日(木)を予定しています。