海峡をゆく船を眺めるホテル

オピニオン室

きょうも動画解説です。▼コチラ!

きょう取り上げたのは今治市沖、数百メートルの瀬戸内海に浮かぶ馬島に今年7月オープンした『GLAMPROOK~hotel&glamping馬島』(グランルーク)。ホテルは10部屋、グランピング施設は6棟と小規模なリゾートホテルです。(グランピング棟は9月中旬オープン予定)

特徴は ①立地場所が馬島という、しまなみ海道の島でありながら、車で入るのには特別な許可が必要な点。(非日常性) ②馬島は島民が10人未満という島で、手つかずの自然が残る点。(瀬戸内海の島の原風景) ③来島海峡を正面に眺め、”国際航路”を行き来する、大小さまざまな船舶を間近に見れる点 (地元の魅力の再発見) の大きく3点です。

◆ホテルへのアクセスと経営

ホテルに行く手段は、①波止浜港から、動画に出てきたかわいらしいフェリー?「くるしま丸」で20分、②路線バスで「馬島バス停」下車、徒歩10分、③自転車かバイクでしまなみ海道を利用、④現在、整備中の専用船を利用、⑤今治港からの専用送迎車を利用の主に5つあります。

経営は、東京に本社を置くホテルやレストランの運営会社で、約2年前から計画し、もともとあった民宿と土地を買い取り、リノベーションしました。馬島は国立公園内に位置しているため、大規模な再開発は事実上、困難で、自然と調和した必要最低限に留まっています。

◆来島海峡をゆく大型船の眺めは圧巻

取材をして何より驚き、魅力を感じたのは来島海峡の『国際性』です。来島海峡は、実はどこの国にも属していない”無国籍エリア”なんだ・・・。そんな印象さえ持ちました。

ホテルでは、宿泊日に海峡を航行する船の予定表を用意しています。

取材した日は、最大で4万4,000トンの貨物船から、9,000トンクラスの客船まで合わせて19隻が海峡を行き交いましたが、国籍は日本、韓国、中国からパナマなど5か国に及びました。

お子さん連れでもカップルでも、部屋から見える海峡を行き交う船舶は見ていて楽しいし、ロマンチックだと思います。

◆手つかずの瀬戸内の島の自然も魅力

動画を見て頂くと分かりますが、美しい海や干潮の時だけ行くことの出来る洞窟など、リゾートとアドベンチャー気分の両方を味わえます。

愛媛ではまだ珍しい、食事とドリンクなどを宿泊料に含んだ「オールインクルーシブ」も特徴です。取材時は立派な高級魚、アコウの刺身など地元の魚がメニューに含まれていました。

料金はオールインクルーシブで、おおよそ1人3万円~です。

◆地場産業を観光資源の1つに

そもそも馬島は地元・今治の人でも行ったことのない人がほとんどだと思います。その周囲の水道を、これだけ国際色豊かな船舶が航行し、さらに世界有数の建造量を誇る造船業を抱える今治市の地場産業の力を、まざまざと見せつけられた気がします。

コロナで旅のあり方も変わろうとしています。身近な観光資源の掘り起こし、再評価も、アフターコロナの大切な視点になりそうです。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(57) 1988年南海放送入社後、新居浜支局、県政担当記者を経て現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、「資本論」(マルクス)や「21世紀の資本」(ピケティ)など資本主義研究が趣味。

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