シニアソムリエ 中西佳子さん

ニュース解説

「食材の上にちょっと黒コショウを振る。それだけで、赤ワインに含まれるスパイシーな香りと味わいに料理との共通項ができて、赤ワインとのマリアージュが生まれたりするんですよ」-。

毎週火曜日の「TIPS」で、お酒の楽しみ方を紹介している「サントリー アースレコード」(15:20~)のコーナー。毎月第1火曜日は、サントリー酒類(株)松山支店の中西佳子さんが、ワインを取り入れた素敵なライフスタイルを語ります。

やわらかな笑顔が魅力の中西さん、実は全国でも2866人(うち女性771人)しかいないシニアソムリエです。
会社での主な仕事は、経理事務などのバックオフィス担当ですが、営業マンのサポートとして、ワイン新商品の特徴を取引先にわかりやすく伝えたり、顧客から頼まれてワインセミナーを開いたり、得意先の新人バイヤーにワインのレクチャーをしたりと、貴重な存在です。

県内でも数少ない女性シニアソムリエ。難関資格にチャレンジしたのは、今から20年前(当時はワインアドバイザー)。当時、会社の方針としてワイン販売に注力することになり、ワイン資格取得を促されたそうです。

「当初は特に興味もないし、昔の電話帳くらいのテキストを覚えなければならなくて、ナントカシャトーとか、メドックとか。土地の名前だかワインの名前だかわからないものを覚えるのがすごく嫌で嫌で。ろくに勉強もしないから1度目は当然落ちました。」

しばらくは勉強から遠のいていましたが、ワインの楽しさを教えてくれる先輩や上司が近くにいたことが転機になりました。

「ほかのお酒にはない酸味や渋み。単独ではおいしくないものでも、それを料理と合わせることによっておいしくいただける、そんな楽しさを教えてくれました。根っからの食いしん坊なので、もっと楽しみたいと自発的に勉強を始めるようになりました。嫌だったカタカナ群も、自分が楽しむためだと思うと、すっと入るんですね」と笑います。

とはいっても当時は小学生の娘が2人いるワーキングマザー。台所の壁に、産地を書いた地図を貼り、洗い物をしながら覚えたり、ふろ場の壁にラップで包んだメモを貼り、ワイン畑の名前を歌にして歌っていたら、小学生の娘も口ずさんでいたとか。

忙しい中での隙間時間をやりくりしながらの猛勉強。2000年にソムリエ(旧ワインアドバイザー)を取得、翌々年は、チーズプロフェッショナルの資格を取得。3年後には、難関のシニアソムリエの試験に合格しました。

(ソムリエ・シニアソムリエの認定証と、ソムリエ合格時に会社から贈られたワインは“もったいなくて飲んでないです”)

(左:シニアソムリエのバッジ 右:ソムリエのバッジ ※シニアはリボンが長い⁉)
(チーズプロフェッショナルのバッジ)

以降は、自分のお小遣いはすべて、ワインの勉強のために使ったと語る中西さん。現地で生産者に会い、生産工程やこだわりなどをたずねます。

(スペイン リオハのワイナリー) (北イタリア ピノモンテの世界遺産のブドウ畑)
(イタリア パルミジャーノのチーズ工房)

中西さんは、ワインは人生を豊かにしてくれるもの、なによりワインで”楽しいひとときを過ごす”ことが大切だと語ります。

松山大学在学中、漠然とした就職活動をしていたとき、大学の就職課でたまたま見かけた、サントリー社長(当時)の佐治敬三氏のことば「やってみなはれ」。
果敢なチャレンジ精神を表現する言葉です。
この言葉に衝撃を受け、サントリーに就職したい、と感じたそうです。

(1987年のサントリー入社当時)

入社したサントリーは、自由闊達な雰囲気で、商品を売ることと同じくらい、地域の文化や自然活動、社会福祉に力をいれていて、その創業精神は、今も脈々と受け継がれているといいます。

(2017年松山支店で取り組んだ、まどんなプロジェクト)

新入社員でもベテランでも、失敗を恐れず“やってみなはれ”の風土。お得意先からのある提案からヒントを得て、松山支店メンバーで企画した「まどんなプロジェクト」は、ドイツワインのマドンナとコラボして、道後を中心に松山市内で広めようというもので、かなりの好評を得たことから、製造会社のドイツ・ファルケンベルク社の役員が感謝の意を込めてドイツから松山支店を訪れたそうです。

(人気のオーガニックワイン タヴェルネッロ オルガニコ)

「いまのおすすめは、オーガニックワイン。当社のワインはとにかく品質と値ごろ感にこだわります。それから、氷を入れて飲むスタイルとして作られた“氷と楽しむ無添加ワイン”は、きょうのような暑い日はおすすめです…」と、愛するワインについて語る中西さんは、輝くほどの笑顔になります。

そんな中西佳子さんの出演、つぎは7月7日(火)放送の「TIPS」15:20から。
中西さんのワインの魔法にかかってみませんか。

記者プロフィール
この記事を書いた人
永野彰子

入社32年目、下り坂をゆっくり楽しんで歩いています。
ラジオ「ニュースな時間」で出会った人たちの、こころに残ることばを中心にお伝えできればと思います。

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