第67回「あなたはエコバッグ派? “レジ袋有料化”スタート」

オピニオン室

■“レジ袋”有料化スタート

プラスチックは、短期間で経済社会に浸透し、生活に利便性と恩恵をもたらした一方で、海洋ごみ問題や地球温暖化といった地球規模の課題が一層、深刻さを増しています。
こうした背景を踏まえ、消費者のライフスタイルを変革し、プラスチックごみの排出を抑制しようと、2020年7月1日から全国一律で、“レジ袋有料化”がスタートしました。

これに伴い、愛媛県内のスーパーやコンビニ、百貨店などでもレジ袋が有料化されています。

■どんな場合にレジ袋が有料に?
ここで気になるのは、どんな場合にレジ袋が有料になるのかということです。
経済産業省と環境省が示したガイドラインによると、有料化の対象は、『消費者が購入した商品を持ち運ぶために用いる持ち手のついたプラスチック製買物袋』と、定義されています。

一方、持ち運ぶためにということで、肉や野菜が入っている内袋などは“対象外”となります。

また、プラスチック製でもバイオマスプラスチックなど環境に優しい素材で作られたレジ袋や紙袋は、有料化の“対象外”です。
さらに景品や試供品、郵便切手などを入れる袋やクリーニング袋、調剤された薬の袋も対象外となります。

■対象となる事業者は?
有料化の対象となる事業者として、国のガイドラインでは、各種商品小売業、織物・衣服・身の回り小売業、飲食料品小売業、書籍・文房具小売業、スポーツ用品・玩具・娯楽用品・楽器小売業etcと、定められています。

一方、販売行為が事業として行われるものではない場合、つまり、フリーマーケットや学校の文化祭などは小売業にあたらないため、“対象外”です。

■“マイバック使用”や“レジ袋購入”の男女別の傾向は?
愛媛県は、“レジ袋有料化”への対応について、2019年11月に世論調査を実施しました。
設問は以下の4つで、次のような回答となっています。

1.「すでにマイバッグを使用している」→58.1%
2.「有料化に合わせマイバッグを購入する」→23・9%
3.「お金を支払いレジ袋を購入する」→7.9%
4.「有料化にならないと分からない」→10.1%


これらの設問を男女別にみると、「すでにマイバッグを使用している」と、回答した男性は42.6%、女性は67.5%で、女性が24.9ポイント男性を上回っています。
一方、「お金を支払いレジ袋を購入する」と、回答した男性は14.1%、女性は4.2%と、男性が9.9ポイント女性を上回っています。

また、年齢別にみると、「すでにマイバッグを使用している」と、回答した人の割合が最も多くなっているのが50歳代で、64.3%。
これに対し、最も低くなっているのは、20歳代以下の43.3%となっています。
私も会社の学生アルバイトや20代の社員に話を聞いてみましたが、常にエコバックを持ち歩いて買い物をするという人はいませんでした。環境保全への意識はあるものの、習慣が身についていないということでした。

■愛媛県の「レジ袋削減・SNSターゲティング広告」
こうした傾向を踏まえ、愛媛県循環型社会推進課では、30歳代以下の若年層に対し、エコバックの使用によるレジ袋の削減やプラスチックごみ等の環境問題に対する啓発のため、2020年4月からSNSを活用したターゲティング広告を実施。
具体的には、愛媛県内でフェイスブックとインスタグラムを利用している30歳代以下の男女約21万人に啓発広告をダイレクト配信しました。

広告では、買い物の際、商品価格が合計500円でもレジ袋の金額を加えると500円では、購入できないといった内容が展開されています。
愛媛県循環型社会推進課によりますと、期間中、このターゲティング広告をきっかけにレジ袋有料化や食品ロス削減などを掲載した愛媛県のHPへのリンク数が増加したという事で、一定の効果があったと分析しています。

さらに、7月1日からは、ターゲティング広告の“第3弾”として、フェイスブックとインスタグラムを利用している愛媛県内の全世代の男女約33万人にエコバッグの利用などを呼びかける広告を配信しています。

■エコバッグも多彩に

レジ袋有用化に伴い、エコバックの需要も増えています。
このうち、東急ハンズでは、特設コーナーを設け、機能的で多彩なエコバックを多数取り揃えています。
その数、およそ200種類!
この店舗では、4月頃から徐々に買い求める客が増え始め、4月から6月のエコバッグの売り上げは、なんと、前年の8倍にのぼるということです。

リック状の背負えるタイプのエコバックは、両手が自由に使えるため、子育て中の女性に好評。

また、両端を持って引っ張るだけで一瞬にしてコンパクトになるエコバッグも人気を集めていて、エコバックは、消費者のニーズに沿った進化を遂げています。

■はじめの一歩に
年間900万トンにも上る国内プラスチックごみの中で、レジ袋はわずか5%程度。この削減だけでは根本的な課題解決には繋がりません。
政府は、2019年に策定した「プラスチック資源循環戦略」に、2030年までに“ワンウェイ(使い捨て)プラスチック”の排出を25%削減するという目標を盛り込んでいます。
“レジ袋有料化”が、脱プラスチックに向けた“はじめの一歩”となるのか。
ちなみに私は、リュックにエコバックを忍ばせて、買い物に出かけるようにしています。

※次回記事更新は、7月9日(木)を予定しています。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

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