まちのチカラ

オピニオン室

「これまでいろんな地域、人と繋がらせていただいたので、今度は、まちの底力を発揮できるように、われわれが貢献しなければならないと思っています」-。

〈株式会社まちづくり松山 社長 加戸慎太郎さん〉

松山市の中心商店街を起点に、まちを活性化することを業務とする異色の株式会社、まちづくり松山の加戸慎太郎社長は、今こそ、オール松山での協力が大切だと語ります。

コロナで疲弊した商店街や旅館、飲食店に活力を生み出すさまざまな試みのひとつとして、7月1日からスタートするのが「食べて!遊んで!松山に泊まろう!~STAY MATSUYAMA~」キャンペーンです。

愛媛県内在住者を対象に、松山市内の旅館・ホテルに宿泊すると、1000円分の地域限定の電子マネー(マチカ)またはポイント券がもらえ、併せて、マチカ加盟の対象店でマチカを使用すると、決済額の20%がポイント還元されるというもの。

特徴は、まちづくり松山がスタートさせた、マチカという、全国でも珍しい地域限定の電子マネーが使われているという点です。

電子マネーには、現金のやりとりよりも、時間も含めたコストが4分の1から10分の1ですむというメリットがあります。
商品の決済などでポイントを貯めたり、ポイントを使うことができますが、松山地域限定という特徴があるため、域内でのモノやお金の循環性を高めることができます。
加戸社長は「たとえば行政が支援策を行う際、地域限定であるため、応援しやすいのではないか」と今後の広がりを睨みます。
つまり松山地域限定でしか使えないため、行政が支出した支援金は、必ず、松山市内で循環するという仕組みです。

地域マネーで経済を回して街を活性化させる、というアイデアを企画した加戸社長は、まちづくりのリーダーとして、全国区で有名な存在でもあります。

銀天街商店街の老舗洋品店に生まれ、愛光学園、慶応義塾大学とエリート街道をすすみ、卒業後は、ゴールドマンサックス証券に入社、No1の営業成績を打ちたてるというキャリアの持ち主。
家業の後継などから11年前28歳の時に帰郷。当初は、家業を整理し数年後で東京に戻るつもりが「モノ言う商店街の若手」として存在感を発揮します。

〈リモートでの全国会議に参加〉

「昔から納得いかないことがきらい。もったいないことがきらいだったんですよね。ここ、こうすればいいと思うことに対して、体も口も動いてしまう」-。

自分が生まれ育ったまちが衰退していく“もったいなさ”から、イベントや交流の機会、経済循環のしくみを発案するなど、有言実行でつぎつぎと新機軸を打ち出していきます。

その行動力から、現在は、(株)まちづくり松山社長のほか、家業の(株)とかげや社長、「マチカ」を運営する「まちペイ」の社長、松山銀天街商店街の理事長、愛媛FCの取締役、全国商店街振興組合連合会の青年部部長…など30以上の要職に就いています。
その合間に、全国からの視察や講演依頼など、まさに分刻みの忙しさです。

「休みはありません。覚悟を決めてやる、と思っているので休まない。有言実行の辛さと、そのあとに得られるものがわかっているから、続けられているんだろうな」-。

宿泊施設の支援に続いて、すでに次の一手を考えているという加戸さん。
まちと人をつなげていく「思い」について、24日(木)の「ニュースな時間」(16:35頃~)でインタビューします。

まちづくり松山
マチカのHP

記者プロフィール
この記事を書いた人
永野彰子

入社32年目、下り坂をゆっくり楽しんで歩いています。
ラジオ「ニュースな時間」で出会った人たちの、こころに残ることばを中心にお伝えできればと思います。

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