第66回「“待ちに待った”道後温泉本館営業再開」

オピニオン室

■約2か月ぶりの営業再開

愛媛県を代表する観光名所、道後温泉本館。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、緊急事態宣言の対象に愛媛県が含まれたことなどを受け、4月18日から臨時休館を続けていました。
これまで道後温泉本館は、年に1度実施される“すすはらい(大掃除)”など、1日単位での休館はありましたが、松山市によりますと、長期間にわたっての休館は、1946年12月の南海地震で道後温泉の源泉が止まったとき以来だということです。
この長期休館が、道後のまちに与えたインパクトは非常に大きく、道後商店街はシャッター通りと化し、多くのホテルや旅館も臨時休業を余儀なくされました。
こうした状況の中、愛媛県が新型コロナ感染レベルを【警戒期】から【縮小期】に引き下げたことなどを受け、松山市は、6月19日から道後温泉本館を再開させることにしました。

■道後温泉本館の新型コロナ対策

6月19日。
道後温泉本館は、2か月ぶりの営業再開の日を迎えました。
しかし、当日の朝は、警報が出されるほどのあいにくの大雨。
それにもかかわらず、午前6時の開館を前に一番風呂を目指し、営業再開を“待ちに待っていた”地元客や観光客が行列をつくり、久しぶりの本館での入浴を楽しみました。

この営業再開に合わせて、道後温泉本館では、様々な感染予防対策を取っています。

・入り口では、サーモグラフィーを使った検温と手指の消毒

・入浴券を購入する際には、トレイを使用して直接の現金のやりとりをなくす

・入浴定員を男女それぞれ40人から20人に制限し、脱衣所のロッカーを半減

・万が一の感染に備え感染経路を追跡できるよう入浴客の連絡先を把握

・脱衣所に設置されていたベンチを撤去

・湯船に浸かるときは、会話を控える

■道後商店街の新型コロナ対策

道後温泉本館の臨時休館に伴い、多くの店が休業を余儀なくされていた道後商店街。
“待ちに待った”道後温泉本館の営業再開に合わせて、道後商店街振興組合は、『道後から絶対にコロナの感染者を出さない』という強い決意の下、新型コロナウイルス感染防止策として独自ルールの“道後商店街10か条”を作成しました。

10か条には、マスクの着用や消毒、換気、キープディスタンスなど商店街の各店舗が守るべき内容が盛り込まれていて、最後は、『マスクを着用しても笑顔を忘れずに』と、締めくくられています。

道後商店街でも人気の古民家を改修したカフェ「道後の町屋」です。
このカフェでは、感染が広がり始めた4月以降、臨時休業を挟みながら、テイクアウト限定で営業してきましたが、道後温泉本館の営業再開に合わせて、19日から店内の客席を利用したイートインを再開させました。

この際、“道後商店街10か条”の徹底に加え、座席のアルコール消毒が済んでいるかどうかを客が一目で判断できるようなカードを作成するなど、独自のコロナ対策で、万全に近い形での営業を目指しています。

このほか、道後温泉本館の営業再開に合わせて、19日に伊予鉄道道後温泉駅前の放生園の『足湯』や『からくり時計』も再開され、道後のまちにも日常が帰ってきました。

しかし、道後の関係者にとって、新型コロナの影響で、書き入れ時の春休みやゴールデンウィーク中に長期休業を余儀なくされたことによる影響は計り知れません。
愛媛県は、19日から県内観光振興を目的に1人1泊あたり5,000円を割り引く事業(6,000円以上の県内宿泊旅行)をスタートさせました。
また、国としても「GO TO キャンペーン」と銘打った官民一体型の需要喚起策の実施を予定しています。
コロナの感染と向き合いながら社会経済活動を維持していく『ウィズコロナ』の時代。
感染防止に最大限の注意を図りながら、豊かな日常を送りたいものです。

※次回記事更新は、7月2日(木)を予定しています。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

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