小学生がヒーローになった日…eスポーツ

ニュース解説

上野颯太くんは野球大好きの小学5年生。

日本ハムファイターズの大ファンです。

選手の特徴や成績、どんな場面に強いかなど、データが細かく頭に入っています。

学校の部活動などには入ってないため、試合はもっぱら去年の誕生プレゼントに買ってもらったゲーム機、スイッチを使って野球ゲームでのオンライン対戦。

6日(土)、県が開いた『eスポーツ体験会』(実施・愛媛県eスポーツ連合)でプロ野球選手と対戦することになりました。

対戦相手は、愛媛マンダリンパイレーツの岩永汰久投手(写真・右)です。

岩永投手はオンライン開会式で、「勝負の世界だから手加減はしない。子どもたち!絶対、負けないぞ」と気合十分です。

◆コロナ”後”の「新しい価値観」を体験

体験会の特徴は、コロナ”後”のイベント実施の一つのモデルケースとして、オンラインで3会場を結んでeスポーツを実施した点です。

例えば開会式などは、これまで賑わい(人数)に価値を置くのが当たり前でしたが、①司会者は室外でスマホ中継、②会場内も極力、簡素に、③モニター画面で顔を合わせる(集まらない)ことに価値を置きました。

音声が聞き取りにくいなど今後、改善すべき点はありました。

しかし、「見た目の派手さ」ではなく、1.参加者の満足度や2.開催する意義、3.情報発信力(拡散力)などが試されるのが、コロナ”後”なのだと改めて実感しました。

◆まさかの番狂わせ・・・「やばいぞ」

選手の前には2つのモニターが置かれ、ゲーム画面と相手選手の表情が同時に見えます。

試合は1回、いきなり上野くん(日本ハムファイターズを選択)がランニングホームランで1点を先制。

その後、両者譲らず、上野くんが1対0とリードしたまま、中盤へ。

実はこの時点で、上野くんの巧みな投手リレーもあって、岩永投手(オリックスバファローズを選択)はヒットを打てず、完全試合の雰囲気が・・・

上野くんの応援団からは「完全試合、いけるんじゃない」。

一方、岩永投手からは思わず「やばいぞ」。

最大の見せ場は最終回(5回、10分ルール)の岩永投手の攻撃と、上野くんのとった満塁策でした。

岩永投手が意地の連打で攻め立てます。

一方、上野くんは「ピッチャーのスタミナがやばい」などと言いながら、一貫して早め早めの投手交代。さらに無理に勝負せず、カウントによっては歩かせます。

申告敬遠も含めて、最後は満塁策で1点を守りにいきました。

その満塁策がズバリ、的中し、1対0のまま試合終了。

試合後は、プロ野球選手でもなかなか味わえないヒーローインタビューが待っていました。

上野くんにとっては、忘れられない一日になりました。

◆様々な「壁」を超えるeスポーツ

今回の大会に参加した子どもたちは、放課後等デイサービス「マルクスコラ教室」に通う13人の障がいのある子どもたちです。実況パワフルプロ野球(野球ゲーム)のほかに、ぷよぷよeスポーツ(パズルゲーム)、ウイニングイレブン2020(サッカーゲーム)でも県内プロ選手と対戦を楽しみました。

マルクの北野順哉代表は、「観戦する子どもたちが、プレーする仲間に声を掛けていたが、まるでベンチから応援しているように思えた。教室に通う子どもたちは部活動の経験がない子がほとんど。試合ばかりでなく、応援のだいご味も味わっていたように思う」と嬉しそうに話します。

◆ご愛嬌の岩永投手「勉強もしっかりね」

上野くんの思い出に残るヒーローインタビューの立役者となった(?)岩永投手は「コロナでメンタルコントロールが難しい中、今回のeスポーツはいい気晴らしになった。楽しかった」と笑顔で語りました。

そして、上野くんに「プロ選手に勝ったんだから、自信を持って下さい。勉強もしっかりね」とエールを送りました。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(54歳)立教大学卒。1988年南海放送入社後、新居浜支局記者、県政担当記者などを経て、報道部長。現在、執行役員報道局長・解説委員長

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