第63回「新型コロナ 愛媛県【感染警戒期】継続」

オピニオン室

■「緊急事態宣言」解除後の国の方針

5月25日に全面解除された「緊急事態宣言」。
まず、この「緊急事態宣言」解除後の国の方針についておさらいします。
政府は、5月25日から7月31日までの約2か月間を移行期間と定め、この期間で、感染の状況を確認しつつ段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくことにしています。
この移行期間における『外出自粛』、『イベント開催制限』、『施設使用制限の要請』等について、6月1日~、6月19日~、7月10日~のそれぞれの段階ごとに緩和されます。

このうち、『外出自粛』について、見てみます。
この『外出自粛』については、『県をまたぐ移動』と『観光』に分けられて示されています。
まず、『県をまたぐ移動』について、6月1日~18日は、5月25日に「緊急事態宣言」が解除された東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、北海道の5都道府県の相互間と、5都道府県と他の府県間の不要不急の移動については、慎重な検討を求められています。
そして、6月19日~全面的に緩和される予定です。
続いて、『観光』については、5月25日~6月18日、県内での観光を徐々に再開。
6月19日~7月31日、県をまたぐ観光についても徐々に緩和。
そして、8月1日~全国的に観光が緩和される予定です。

■愛媛県の対応は

愛媛県は、新型コロナウイルスの感染状況などに応じて、3段階の『警戒レベル』を独自に設定します。
※【感染対策期】→【感染警戒期】→【感染縮小期】
愛媛県は、この警戒レベルについて、5月14日に『緊急事態宣言』が解除されたあとも、5月31日までは、【感染警戒期】を継続することを決めていました。
このため、5月25日の『緊急事態宣言』の全面解除を踏まえた6月1日以降の愛媛県の対応に注目が集まっていました。
こうした中、5月29日に中村知事からその方針が発表されました。

中村知事は、『緊急事態宣言』の全面解除と、松山市内の病院の大規模クラスターの発生などを踏まえた上で、警戒レベルについて、「市中に感染が広がっている状況にはないと判断するものの、現時点で警戒を緩めて、ただちに【感染縮小期】に移行することは適当でない」などとして、6月1日~18日まで【感染警戒期】を継続することとしました。
その上で、この期間を【感染縮小期】への移行期間と位置付けています。

■具体的に何が変わる?
では、【感染警戒期】から【感染縮小期】への移行期間では、私たち愛媛県民の暮らしはどのように変わるのでしょうか?

今回、愛媛県が示した自粛要請等の内容のうち、『事業者』、『観光』、『休業要請』の3項目について、具体的に見ていきます。
まずは、『事業者』についてです。

愛媛県は、特にサービス業などについては、私たちもよく目にするようになった≪行列位置の指定≫、≪パーテーションの設置≫、≪適切な入場制限≫などの“3密回避”の取り組みを通常のスタイルとして定着させて欲しいとしています。
さらに首都圏や北海道などへの出張には注意し、テレワークや時差出勤の継続を求めています。

続いて、『観光』についてです。
愛媛県は、3密回避などの感染防止策を徹底し、まずは、県内観光の振興から徐々に取り組んでいきたいとしています。
言い換えれば、県をまたぐ観光は、6月18日までは控えて欲しいということです。

これを受け、松山市は、愛媛県内最大の観光地道後のシンボルで、4月18日から臨時休館が続いている“道後温泉本館”についても6月18日まで休止期間を延長することになりました。

その理由について、松山市の野志市長は、「道後温泉本館は、非常に誘客力があるところなので、開けてしまうと、県外から来る方もいるのではないかということから判断した」としています。
この道後温泉本館の臨時休館については、5月11日までの期限が5月31日に延長されていたものが、さらに6月18日まで再延長されたことになります。

この状況について、道後の旅館や土産物店などの関係者は、「段階的に自粛が少しづつ緩和していく、一歩進んだという意味で、まずは、一つの安心。しっかり対策を徹底して、第二波、第三波に向けてもウィズコロナの中で買物客が安心できる環境を作りたい」などと、前向きな意見がある一方、「本館が開かないと道後に客が来てくれない。延期がずっと続くと残念」などと、再開延期に肩を落とす意見もありました。
さらに、松山市に対して、「できれば再開する場合でも延期する場合でも、1週間から10日前に発表してもらわないと店の準備ができない」などといった、切実な意見もありました。

最後に『休業要請』についてです。

愛媛県は、5月31日まで、パチンコ店やカラオケ店、バー、スナック、ライブハウスなどの遊興・遊技施設に対して、条件付きの休業を要請していました。
これについては、6月1日から休業要請をしないこととしました。
一方で、ドアや窓の解放、来客数の制限などの3密回避策の徹底や感染防止に向けた業種別ガイドラインの実践などについて、協力を求めることにしています。

全国的に緩和ムードが広がる中、北九州市でクラスターが発生するなど早くも感染流行第2波の懸念が浮上しています。
緊急事態宣言の発令などに伴う長期間の外出自粛の影響で、愛媛県内はもとより、世界的に経済は冷え切ってしまいました。
『感染拡大防止』と『経済活動の再開』の両立が大きな課題となる中で、今後は、様々な場面で、県民一人一人の慎重な判断が求められることになりそうです。

※次回記事更新は、6月11日(木)を予定しています。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

御手洗充雄をフォローする
オピニオン室