県は先月25日、『避けよう3密~eスポーツ体験会』を今月6日にオンライン対戦で開催すると発表しました。主催は県、実施は愛媛県eスポーツ連合となります。
中村知事は、「コロナ感染予防でスポーツが楽しめない今、是非、eスポーツの良さを知ってもらいたい。eスポーツを健全に広めたい」と述べました。
大会はeスポーツの大きな特徴の1つである、オンライン対戦で行われ、3密を避けます。
具体的には、放課後等デイサービス事業所マルクスコラ教室に通う、障がいのある子どもたち 13人と県内プロスポーツ、3チームの選手合わせて6人が、3会場に分かれてオンラインで対戦を楽しみます。
対戦するゲームは、今年秋に開催予定の鹿児島国体文化プログラムにも採用されている ①ぷよぷよeスポーツ(パズルゲーム)、②実況パワフルプロ野球(野球ゲーム)、③ウイニングイレブン2020(サッカーゲーム)の3タイトル。
最近、フィジカルスポーツのプロ選手同士が、eスポーツで対戦することはよくありますが、プロ選手と障がいのある子どもたちがeスポーツで対戦するのは、全国的にみても画期的な取り組みです。
大会ドキュメント(ゲーム機の設置から練習に励む姿、大会当日の様子)を、南海放送の夕方ニュース、News Ch.4で特集として放送します。また、県のHPなどでも大会の様子は発信されます。
◆Twitter発信に全国から大きな反響
大会実施を愛媛県eスポーツ連合の公式Twitterで発信したところ、全国のゲームファンを中心に多くの反響がありました。いくつかご紹介します。
★「3密を避けたeスポーツ大会が”素敵”」と評価
★「県が主体的にeスポーツに関わってくれるのは良い」という意見
★ゲーム依存症防止条例を制定した香川県との比較 (同じ四国でも随分、違うとの内容)
◆県内初の障がい者eスポーツチームが練習中!
マルクスコラは去年12月、県内で初めて障がい者によるeスポーツチーム『マルクスコラサイクロンズ』を結成しました。メンバーは現在8人。
今年3月、『サイクロンズ』は、南海放送で開催された、5人のチーム戦が特徴で、世界最大の競技人口を誇るとされる「リーグオブレジェンド」の大会に出場し、対外公式戦、初勝利を飾りました。
今回、『サイクロンズ』メンバーに、5人を加えた合わせて13人が出場しますが、サイクロンズの武田悠世さんは、「プロ選手との対戦が楽しみ。練習も楽しい」と話します。
『サイクロンズ』を指導する山崎和希さんは、「チームを立ち上げる時、保護者から『ゲームで何が学べるのか?』という疑問を頂いた。マルクに通う子どもたちは、ほとんど部活動の経験がない。eスポーツ部でチームワーク、コミュニケーション能力、礼儀やマナー、道具を大切にする気持などを学んでいると思う」と手ごたえを感じています。
◆コロナ『後』の世界へのきっかけに
全国のeスポーツ事情に詳しい愛媛県eスポーツ連合・運営アドバイザーの谷本雅章さんは「地方の知事が、公式会見でeスポーツイベントの実施を発表するのは珍しいのではないか。コロナでイベント自粛が長引く中、オンライン対戦というeスポーツの強みを活かしてこの時期に実施する意義は大きい。Twitterの反響から見ても”後に続こう”という雰囲気を全国につくったのではないか」と評価します。
さらに、「県が主導し過ぎるのは本来、望ましいことではない。今後は大会内容について、ゲームコミュニティと共に作り上げてゆく形がいいと思う」と話しました。
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ゲーム依存症の問題やビジネス採算性の問題、根強い「スポーツとして認められない」という意見など、まだまだeスポーツは発展途上にあります。
しかし、障がいや世代を超えて楽しさを共有できる点、若者の日常に溶け込んでいる点、5Gとの相性が良いとされる点、世界とネットを通じてつながる点・・・など魅力が大きいのも事実です。
コロナ問題でイベント自粛が相次いだ中、再開の動きがeスポーツのオンライン対戦から始まるのは、コロナ”後”の世界を象徴している気もします。