コロナ問題~報道の危機意識と対策

ニュース解説

私たち報道機関も、新型コロナウイルスの感染拡大で、過去にない危機に直面しています。それは『報道の継続が脅かされる』という危機です。

1つは放送現場で直面しています。私たち報道人(記者やカメラマン、デスクなど)も感染リスクにさらされており、仮にスタッフの感染が確認された場合、その濃厚接触者も含めて出社できず、放送の継続が一定期間、不可能になる可能性があります。

2つ目は取材現場で直面しています。取材は”現場に行くこと”を前提としており、その場所での人との接触に感染リスクが存在します。記者・カメラマンらには感染させるリスクも、感染するリスクもあります。

取材を受ける側には”取材されたくない”という自由があります。こういう事態ですので、その自由(意思)は普段より、なお尊重されるべきでしょう。

公的機関の発表の①要点を ②早く ③正確にお伝えすることも我々の役目です。(例えば、県庁の記者会見など) しかし、事実の背景、意味、今後への影響などを取材によって検証し、市民の「知りたい」という欲求に応えるのがジャーナリズムの役割です。

その取材が危機にさらされているのです。

◆南海放送報道局の取り組み

こうした危機に対応し、報道を継続する、具体的にはNews Ch.4の放送を継続するために、南海放送報道局は大きく2つの対策をとっています。

1つは私たち報道する側が、感染しないための対策。

2つ目が、新たに取材ガイドライン(行動指針)を設けました。

私たちが放送を継続すると共に、取材される側に、出来る限り安心して取材を受けてもらうための対策です。もちろん、絶対、安心とは言い切れません。我々の努力です。

1.報道する側の感染対策

①報道スタッフを大きく2班に分け、仕事場を分離

報道局には記者、カメラマン、デスク、美術、送出、キャスターなど約40人のスタッフがいます。このスタッフを大きく2つの班に分け、仕事場を階の異なる2つのフロアに分離しました。(人数配分は1:1ではない)

仮に、一方の班のスタッフに感染者が確認され、濃厚接触者を含めて出社が不可能になっても、もう一方の班で報道を継続するためです。

②飛沫対策用のアクリル板を設置

これはラジオで先行して進められた対策ですが、報道フロアでも現在、整備を急いでいます。

ラジオでは、主にスタジオに招くゲストと、プレゼンター双方の感染防止のために設置されましたが、報道では記者やカメラマン、デスクなど、スタッフ間の飛沫対策として整備します。

③マスク、距離、体温、ペアリング、自宅編集など

マスクの着用義務、ソーシャルディスタンスの確保、体温検査はもちろん、①記者と②カメラマン、そして、③編集室の3つをペアリングし、万が一の際の濃厚接触者を限定(少なく)する措置をとりました。

さらに、2台のMac Bookプロの個人貸し出しを可能にし、自宅編集が可能な体制も整えています。

2.コロナ取材ガイドライン

非常事態宣言の発出という特殊な状況下での取材は、過去に経験がありません。

「国民の知る権利に応える」「感染しない、させない」「人との接触を8割減らす」

この主に3つを、いかに同時に達成するか。

難しい作業です。

ガイドラインは「取材に関する事項」と「撮影に関する事項」の2つからなり、取材に関する事項では、大きく7つの項目別に指針をまとめています。

①会見、②取材現場、③集団を取材する場合の考え方・・・などからなりますが、特に③は、記者の ”現場で取材するからこそ生じる悩み” をもとに生まれました。

具体的には、学校や学童保育など一定規模の集団を取材する場合、記者が感染させるリスクも、感染するリスクもある。場合によっては集団感染の恐れもあり、その取材の是非や取材方法をめぐるガイドラインです。

手順として、1.対象集団の取材の必要性の協議(主にデスクと記者)、2.取材先の意向の確認と尊重、3.取材する場合は「短時間の取材」「集団との距離の確保」「密閉空間を作らない措置」などを求めています。

現在は学校の休校措置がとられ、取材そのものがなくなりましたが、これまでの取材の中で生まれた記者個人の、疑問や迷いを全員で共有し、具体的手順をまとめておくことは、報道局の今後の大きな資産になります。

さらにコロナ問題を機に、新たな取材手法を認めました。

直接、会うことのないネット経由のインタビュー取材です。ちなみに、きょう(21日)のNews Ch.4で早速、若手記者がチャレンジしました。

◆News Ch.4はニュースの原点、「知りたい」に応えたい

今、報道現場で、ニュースに対する県民のニーズが非常に高いと実感します。それは視聴率という数字にも現れています。

普段、視聴率は”番組の支持率”と捉えがちですが、今は”ニュースそのものへの要求度”と感じ、身の引き締まるい思いです。

恐らく視聴者の皆さんは、「きょう、コロナ問題で、どんなことが起こっているんだろう」と、News Ch.4をご覧になるんだろうと思います。

「その欲求に応えるのが、ニュースの原点なんだ」。報道歴30年の私が、そう感じます。恐らく、新人記者も、そう感じていると思います。

「知りたい」。

それに応えるニュース。

News Ch.4を放送し続けるために、一丸となって頑張りたいと思います。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(54歳)立教大学卒。1988年南海放送入社後、新居浜支局記者、県政担当記者などを経て、報道部長。現在、執行役員報道局長・解説委員長

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