■愛南町民らに外出自粛要請
愛南町では、4月14日までに新型コロナウイルスの感染者が7人確認されていて、松山市に次いで、県内で2番目の感染者数となっています。
その要因の一つとして考えられているのが、愛南町と隣接する「高知県宿毛市」を含む6市町村からなる「高知県幡多地域」との住民の往来です。
4月9日に感染が確認された愛南町の女性は、「高知県宿毛市」の複数の集客施設を数回訪れていました。
高知県は、感染拡大に歯止めがかかっておらず、浜田知事が「緊急事態宣言の一歩手前」と危機感を強めているほどです。
愛南町には、「高知県宿毛市愛媛県南宇和郡愛南町篠山小中学校組合立篠山小・中学校」という学校があるくらい隣接する「高知県宿毛市」との交流が盛んで、住民が仕事や買い物などでよく行き来をする同じ生活圏です。
高知県の県境にある愛南町脇本地区では、多くの住民が高知県の地方紙「高知新聞」を購読しているくらいです。
こうした同一の生活圏で感染が広がっている状況を踏まえ、中村知事は、愛南町の住民などに対し、不要不急の外出や「高知県宿毛市」など感染拡大地域との往来の自粛を要請しました。
その期間は4月26日までで、状況によっては延長の可能性もあります。
■愛媛県内初のクラスター発生
さらに、愛南町の住民らに外出自粛要請を出した直後の4月13日。
松山市内のクレジット会社に勤める40代から60代の男女5人が新型コロナウイルスに感染していると愛媛県が発表しました。
厚生労働省は、同じ場所での接触が明らかな感染者が5人以上いる状況を【クラスター】と定義しています。
愛媛県内では、これまでに松山市で通夜と葬儀の参列者4人(50代~80代男女)が集団感染する事例はあったものの、【クラスター】が発生したのは、今回が初めてとなります。
このクレジット会社では、4月7日に30代の男性社員の感染が確認されています。
この男性社員は、3月27日から28日まで大阪府に出張し、数名と会食しています。
当初、男性社員の濃厚接触者は、同居する家族5人と会社の同僚8人でした。
県などは、この13人にPCR検査を行い、4月11日に同居家族の30代の女性1人と会社の30代の同僚女性1人の感染を確認しました。
この結果を受け、県は、感染が拡大している恐れがあるとして、PCR検査の対象をクレジット会社の全社員53人に拡大しました。
そして、4月12日に社員5人の感染を確認したのです。
これで、最初に感染が確認された男性社員とその家族の女性1人。さらに社員7人のあわせて8人の感染が確認されたことになります。
■【緊急事態宣言の回避行動】
中村知事は、松山市内で県内初のクラスターが発生したことや経路不明の感染者が確認されたことなどを受け、市中感染の可能性も否定できないなどとして、ある決断をしました。
それが、【緊急事態宣言の回避行動】の要請です。
4月14日、全県民に対し、次の3点を“強く強く”要請しました。
***************
①うつらないよう自己防衛!
自分が感染しないようにこまめな手洗いや換気
「密閉・密集・密接」の3つの密を避ける
②うつさないよう周りに配慮!
体調不良のときは躊躇せず自宅療養
自分が感染しているかもしれないという気持ちで他人と接するときは距離を置く
③県外や不要不急の外出自粛!
仕事や生活に支障がない限り外出を自粛し、自宅で過ごす
また、緊急事態宣言が出されているエリアへの出張や旅行を控える
***************
中村知事は、この3点の要請に【愛媛県で緊急事態宣言を出さないため】という強い思いを込めています。
愛媛県の現状について、感染拡大地域となる一歩手前の状況にあると、危機感を示した上で、「お願いよりも強い要請、その要請よりも一段高い“強い強い”要請です」と、全県民に協力を呼びかけました。
また、この要請には、県民への大きな負担や影響が伴うことから、自身の給与1か月分を返上する考えも合わせて表明しました。
中村知事が全県民に対して呼びかけた外出自粛の要請期間は2週間、4月26日まで。
2週間後に愛媛県内の感染者をゼロにすることは難しいことかもしれませんが、緊急事態宣言を回避することができるかどうかは、まさに今、この瞬間の私たちの行動にかかっています。
※次回の記事更新は、4月23日(木)の予定です。