「国際自由人」藤村さん

オピニオン室

住む場所にとらわれず、様々な国に移り住む”国際自由人”として活躍している藤村正憲さんの講演会が、先日、松山市内で開かれました。

2002年から北京→香港→マレーシア→オランダと移り住んでいる藤村さん。
きっかけは学生時代に行った、返還前の香港への旅行です。
当時、東京がアジアのナンバーワンだと思っていた藤村さんにとって、英字新聞を当たり前のように読むホームレスや、自由に英語を操り国境を越えてビジネスをする人たちをみて衝撃を受けたそうです。

英語が使いこなせるのに、中学高校になると母子でアメリカやイギリス、オーストラリアに移住し、さらにネイティブな英語環境で子育てをするという市民の姿を見て、英語を自由に使えないとこれからの時代は厳しいかもしれない、と、結婚もしていない19歳の時に、子どもの成長に合わせて世界を拠点にする生き方をしようと思ったそうです。

「国際自由人」とは、自分や家族にとって、折々のライフスタイルに“合う”場所に移動する生き方だといいます。

10歳の息子さんがいる藤村さんが、「今いちばん必要なものがある」として住んでいるのがオランダです。オランダは、人を育てるノウハウがとても豊かな国であると、著書「世界で通用する最強の子育て」の中でも紹介しています。

世界で通用する最強の子育て

しかし、“合う”ところを目指して住むところを変えるという生き方は、生まれてから半世紀以上松山で暮らしている私のような者にとってはかなりハードルが高く感じます。
「リスクよりも、得られるもののほうが大きいということですか?」と藤村さんに尋ねると、
「リスク?リスクって何かありました?命さえ取られなければ、それ以外に何かあります?」と逆に問い返されてしまいました。

藤村さんは「どんなことでも経験していると、リカバリーの仕方を知っているので、失敗が怖くなくなる」とした上で、
「経験がないと、知らないことに直面した時に、感情的に恐怖心が起きてしまったり、怖いからこそ怒りの感情が生まれたり、感情のコントロールができなくなる」と指摘します。

たしかに、なぜ自分の言っていることをわかってくれないのか、あのひとは常識がない、信じられない、と自分の尺度で計ってしまい、衝突が生まれます。

藤村さんは、子どものころから異文化の人に触れることで、「自分の常識は通じない、自分の力で相手をどうこうできるものではない」ということを身につけていれば、他人とコミュニケーションをとるときにも、自分の意見を無理に押し通したり、自分が絶対正しいと錯覚することもないのでは、といいます。
そして「異文化のミスコミュニケーションというのは、国と国だけでなく、夫婦間でも同じことなんですよ」と笑います。

ところでこの講演会は、松山市の子育て支援グループ「心を育む子育て応援隊COCOSUKU(ココスク)」が主催しました。
きっかけはココスク代表の梅原春佳さんが、藤村さんの著書を読んで深い感銘を受け、どうしても直接お話を聞きたいと思ったことから。FBで無理を承知でお願いし、実現したものだそうです。
オランダから意中の人を呼び寄せた梅原さんの行動力にも拍手を送りたいと思います。

国際自由人、藤村正憲さんへのインタビューは、きょう2月12日(水)の「ニュースな時間(16:00~)」内、午後6時30分頃から。
ラジコなら、タイムフリー機能で、放送後1週間はいつでも聞くことができます。

記者プロフィール
この記事を書いた人
永野彰子

入社32年目、下り坂をゆっくり楽しんで歩いています。
ラジオ「ニュースな時間」で出会った人たちの、こころに残ることばを中心にお伝えできればと思います。

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