南海放送のYouTubeがアツイ

オピニオン室

南海放送のYouTubeが面白いらしいね、誰が作ってるの?と知人から問われることが幾度かあり、その制作者にズームします。

メディア広報部の折原綾平さん(32歳)、入社1年目。
前職は、スマホゲーム開発企業の動画マーケターとして、YouTube、フェイスブック、ツイッターなどで流す、商品のPR動画を制作していました。

現在は南海放送の番組やイベント、企業イメージも含めた広報を、電波以外のメディアで発信しています。
いま注力しているのはYouTube動画制作。新ドラマなどの番組宣伝を、テレビで流れるPRスポットとは違った動画でアプローチします。

具体的には、テレビとYouTubeの編集方法にはどんな違いがあるのでしょうか。
テレビではいくつかの暗黙ルールがあります。こんな表現はダメだとか、細かいところだと、テロップ(画面上の文字)は、よくわかるように原則3秒以上は表示する、など。かたやYouTubeはなんでもありだと折原さんは言います。
「0.5秒しかみせないテロップもありなんですよ。何だ?ってなっても、YouTubeはカーソルを後ろに下げれば戻ることができる。気になって、戻って、テロップを確認して、そこにクスッと笑えることが仕込んであって、印象付けるとか。ほかにも、しゃべった言葉に対して全部テロップを入れるとか、余計な“間”をすべてカットするジェットカットという手法をいれたりとか…」

たしかに、子どもに人気のYouTube動画を見ていると、1場面が短く、息つぎの間さえもカットしているような編集が多い。最初の10秒だけでも何枚の画を入れているのか。このような動画に慣れていると、家でテレビを見ていた娘が「たるい~」と言っていた意味もわかるような気もします。かたや食玩の箱を開けてお菓子を完成させるまで編集なしで延々と見せるものも人気だったりするので、何でもありなんだなと感じます。

折原さんは「特に意識をしているのは、“フック(=ひっかかり)を作る”こと。結果が気になるとか、ふだん目にしたことがない、など、サプライズをどれだけ引き出せるか」と言います。

折原さんが手がけた、新ドラマ「白でも黒でもない世界でパンダは笑う」のPR動画は、青木美奈実アナが出演し、再生回数10万回、ネットニュースにも取り上げられるなど、全国で注目を集めました。

青木アナがギャルメイクにチャレンジするという内容ですが「若い女性アナのおふざけ」と逆効果にとられてしまうことがないよう、表現方法にはかなり気を配ったといいます。

「ネットは反応が早い分、(バッシングなど)聞きたくもない声も聞こえてきてしまうので、そこはかなり丁寧に。その技術が一番難しいし、経験が必要ですね。なんでもかんでもやるというのは、実はそんなに難しいことでもないんですよ」-。

たとえば、一人喋りなので“ワタシだけの自己満足世界”にならないよう、ぬいぐるみパンダに“突っ込み”を語らせたり、完成メーク姿にあえてボカシを入れたりしながら、最後は本来の目的である番組PRできちんと締める、などなど。

若い世代は、テレビからWebにシフトしている!?ということをよく耳にしますが、Webの世界にいた折原さんには、電波の世界はどのように見えるのか尋ねると「大人が思っているほどに、若い人はYouTubeが好きとかテレビが嫌いというわけではない」とし、「テレビに触れる機会がないのと、見たいコンテンツがないということ。柔軟に面白いものを作ってみんなに見てもらうという考え方は、テレビもYouTubeも変わらないのでは」と指摘します。
そして、どれだけたくさんのコンテンツを持つかが勝敗の分かれ目になると。

この際、営業も経理も人事も部署ボーダーレスで、全員がコンテンツを作る、というなんでもアリの放送局になってみるのも面白いかも!?

(たけやマラソン部)

ところでいま折原さんが取り掛かっているのが、「たけやま3.5」がマラソンに挑戦するYouTube限定の番組「たけやマラソン部」。
ターゲットはずばり、たけやま3.5は大好きだけれどもマラソンは興味ナシ、という人たちだそうです。愛媛マラソンはこれまで見たこともなかったけれども、今年はあらふしぎ、応援に出かけてしまったよ!というワナが仕掛けられているとか。

最後にPRをひとつ。
アナウンサーやマスコミへの就職を目指す人たちのための1日就活講座を開きます。講師には折原さんも登場します。近年はエントリーシートに加えて、エントリー動画の提出を求める企業も増えてきました。たくさんの応募者の中から、きらりと光るエントリー動画を撮るためにはどうすればいいか、「フック」の作り方を教えます。応募はこちらまで。(マスコミ受験直前講座

折原さんへのインタビューは、きょう2月5日の「ニュースな時間」18時30頃から。

記者プロフィール
この記事を書いた人
永野彰子

入社32年目、下り坂をゆっくり楽しんで歩いています。
ラジオ「ニュースな時間」で出会った人たちの、こころに残ることばを中心にお伝えできればと思います。

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