第47回「立憲民主党・枝野代表 単独インタビュー」

ニュース解説

■【枝野代表・単独インタビュー】

2020年1月26日、愛媛入りした立憲民主党・枝野幸男代表に単独インタビューしました。

※自民党・新人 長谷川淳二さん
愛媛県内では、次期衆院選の愛媛4区で、自民党・新人の長谷川淳二さん(51歳)。

※立憲民主党・新人 杉山啓さん
立憲民主党・新人の杉山啓さん(28歳)が立候補を表明していて、すでに前哨戦がスタートしています。
枝野代表は、この杉山さんを激励するため、愛媛入りしました。

■争点は【アベノミクスの副作用】
単独インタビューに先立ち、伊方町の菓子店や柑橘農家を視察した枝野代表。

その際、耳にしたのは、少子高齢化に伴う人口減少などによって衰退する地方の厳しい現状でした。
枝野代表は、「愛媛4区は、(大企業中心の)アベノミクスのしわ寄せ、副作用を一番受けている地域の一つで、これを変えていく必要がある。」となどと述べ、【アベノミクスの副作用】をどのように改善していくのかいう点を次期衆院選の争点に挙げました。
その上で、「地方に財源を渡し、地域の中でお金が循環する仕組みをしっかり作りたい」と東京一極集中からの脱却を訴えました。

■対自民党・長谷川氏について
自民党県連や愛媛4区内の全市町の首長からの出馬要請を受け、2019年12月26日に出馬表明した長谷川さん(元愛媛県副知事・総務省官僚)。
2020年1月14日には、自民党・現職の山本公一衆議院議員に代わり、自民党愛媛4区の支部長に決定しました。

※公明党・山口代表と長谷川氏 1月19日松山市内
自民党が衆院選を戦う上で、連立政権を組む公明党の支援は不可欠です。
長谷川さんによると、2020年1月19日に公明党愛媛県本部が開催した賀詞交歓会で、山口那津男代表から直接、「(公明党と)連携して地域の発展のために一生懸命頑張って欲しい」などと激励を受けたということです。
さらに中村知事も「中村県政の土台作りをしてくれた方で、友人としてエールは送りたい」などと個人的に支援する考えを表明しています。

一方、伊方町三崎地区出身で東京大学卒業後、国立科学博物館認定のサイエンスコミュニケーターとして市民活動に取り組んで来た杉山さん。
枝野代表は、この杉山さんについて「(長谷川氏と違い)4区がふるさとの落下傘でない候補者が決められ喜んでいる。将来性のある候補者で地元の皆さんに期待して頂ければ十分戦える」と、評価した上で、長谷川さんについては、「いまの自民党内は、安倍一強のため、結局、誰が議員になっても政治を変えられない。むしろ安倍政権と戦うという姿勢が必要」と語り、政権交代の必要性を強く訴えました。

■【愛媛1、2、3区と比例代表の対応は】
2019年の参院選愛媛選挙区では、野党が力を結集し、統一候補が当選しました。
枝野代表は、この流れを次期衆院選にも繋げたい考えで、「3区については、国民民主党・現職の白石洋一衆議院議員(自民党・井原巧前参議院議員も立候補を表明)の当選を目指し、1区と2区についても自民党対野党の一騎打ちの構図を作れるようにしたい」と野党勢力の結集を呼びかけました。

※れいわ・山本代表街頭演説 1月30日松山市内
また、先の参院選で躍進し、1月30日と31日には、松山市内で支持を訴えた山本太郎代表率いる【れいわ新撰組】との連携については、「野党共闘の枠組みとなった市民連合と各政党が一致している13項目の同意をベースにそれに加わってくれるのであれば幅広く連携していきたい」と、インタビューの時点では前向きな考えを示していました。
しかし、【れいわ新撰組】の山本代表が「消費税率5%」への引き下げを旗印に野党共闘が実現しなかった場合、独自に100人~131人の候補者を擁立する可能性を示したため、先行きは、不透明な状況となっています。(愛媛県内では1区が候補者擁立の対象選挙区)

一方、次期衆院選の比例代表で、野党の統一名簿を作成するのかという問いに対しては、「それぞれの政党の持ち味を生かして別々に戦った方が野党全体のパイは広がる」などと、現時点で否定的な考えを示しています。

■伊方原発の即時停止を
立憲民主党は、原発ゼロ基本法案を国会に提出するなど、「原発ゼロの実現」を政策に掲げています。

枝野代表は、伊方原発1~3号機で【電源喪失】のトラブルがあった翌日に伊方町三崎地区を訪れていました。

2020年に入り、伊方原発で、核分裂反応を抑える制御棒を誤って引き抜くなどの重大トラブルが相次いで発生していることを受け、枝野代表は、「原発に絶対の安全はないということが改めて証明された。特に伊方町三崎地区は避難についても大変難しい状況にある。この状況で稼働を続けるというのはあまりにもリスクが高すぎる」などと、原発の即時停止を求めました。
その上で、「(党として)原発に代わる電力と地域振興策、雇用対策をしっかりと打ち出したい」と述べました。

年内の解散総選挙の実施もささやかれる中、安倍一強政治に対し、野党は、存在感を示すことができるのか。
今後の政局に注目です。

※次回の記事更新は、2月13日(木)の予定です。

記者プロフィール
この記事を書いた人
御手洗充雄

1976年松山市生まれ。
1999年南海放送入社、2008年~報道部(記者として愛媛県警記者クラブ、松山市政記者クラブ、番町クラブなどを歴任し、現在はデスクとして活動中)
約10年の行政記者経験を基に県政・市政ニュースなどを分かりやすくお伝えます。

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