被災ミカン④玉津のミカンは確かに美味かった!

ニュース解説

今月11日、被災地、吉田町玉津地区の極早生ミカンの収穫に同行取材しました。

◆驚きの事実① 「えっ?ここ上るんですか!」

収穫に同行させてもらったのは御手洗隆徳さん(37)の園地。御手洗さんは親子2代で現在、約3.5ヘクタールを耕作しています。

玉津の園地は急傾斜が特徴で、栽培する側にとっては不利な地形。しかし、水はけがよく、斜面にしっかりミカンが根を張るため、そのストレスで、ミカンが甘みを増すんだそうです。

細い農道をてくてく歩き、「どこから上がるのかな?」と思っていると、御手洗さんが「この辺から上がりましょうか」といきなり雑草の中に割って入ります。

「えっ!道が無いですよ」というと、「よく見たら細い道があるんですけど、今は雑草に覆われて見えませんね」。

「蛇が出たらどうしよう…」と思いつつ、御手洗さんの後に続く・・・

◆驚きの事実② これ結構、危なくないですか?

上り始めると、雑草についた朝露?(水滴)で滑って危ない。こけると、ズルズルっと下に滑り落ちる感じ。

同行した支局記者がTVカメラを持っているので危ないな、と思って声をかけると、しっかりスパイク付き地下足袋を履いていました。

「さすが、地元記者は違うな」と感心しつつ、「一体、そんな地下足袋、どこで買うの?」と疑問・・・

◆驚きの事実③ 移住希望者2人発見!

当日は30度を超える真夏並みの暑さ。正直、過酷な環境です。

その過酷なミカン山で『アルバイター』として働いている2人と出会いました。

1人は静岡出身の鈴木頌子さん(33)。すでに半年間も愛媛でミカンのアルバイトをしているといいます。

農業、特に果物に興味があり、これまでに山梨で桃、長野でスイカ、和歌山でミカンの栽培や収穫を手伝うアルバイトをしてきたそうです。

愛媛、特に玉津が気に入り、移住を考えてると聞いて、思わず「仕事、きつくないですか?」と質問。

鈴木さん曰く「確かに仕事はハードだけど、とにかく人がいい。温かい」。

本気で移住を考えているそうです。

もう1人が北海道出身の佐々木隆史さん(37)。首都圏で15年間、エンジニアとして働いていましたが、自然と触れ合う仕事がしたいと心機一転、農業をしようと自分に合う”仕事場”を探しています。

佐々木さんも玉津が気に入り、近々一旦、神奈川の住居に戻るそうですが、具体的に移住の計画を進めたいと話していました。

2人とも日焼けした笑顔が、”イキイキ感”を醸し出していました。

◆驚きの事実④ 玉津の極早生ミカンは美味かった!

ケースにどんどんミカンが収穫され、だんだん「これ、どんな味なんだろう?」と気になります。

御手洗さんに「食べてみて下さいよ」と促されて手に取って皮をむぎ始めると・・・「あれ!皮が薄いぞ!?」。

実が肥大しているというか、充実しているというか、実が皮に”へばりついて”、むきにくい感じです。

さらに、房を口に入れると・・・、「あれ?酸っぱくないぞ!」

極早生ミカンというと、青酸っぱいイメージがあるんですが、それがありません。甘みもあります。

御手洗さんの表現だと、「食べやすく仕上がっている」とのこと。「なるほど、そういう表現か」と思いつつ、疑り深い私は、「もしかして猛暑で喉が渇いて、美味しく感じるのかもしれないな」ともう1個、さらに「個体差があるかもしれないな」ともう1個、計3個、こっそり食べましたが・・・

どれも、少なくとも今まで食べた極早生ミカンの中で、最高に美味しく感じました。

◆いよいよ出荷、初セリへ

西日本豪雨災害から2度目の出荷を迎える玉津ミカン。本来の品質で、いよいよ市場の”審判”が下されます。東京・大田市場の初セリは今月27日です。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(57) 1988年南海放送入社後、新居浜支局、県政担当記者を経て現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、「資本論」(マルクス)や「21世紀の資本」(ピケティ)など資本主義研究が趣味。

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