選手のその後

ニュース解説

「このシールをドアに貼っておくと防犯対策になる」-。

一人暮らしの女子大学生の間でまことしやかに語られているとか。

 

松山市に総本部がある新国際空手道連盟芦原会館、2代目館長の芦原英典さんにインタビューしました。

創設して約40年、実践的で誰でも楽しめる「芦原カラテ」は国内外に広がり、現在、国内176支部、海外に180支部があるといいます。



≪デンマーク・ルーマニアでの合宿(7月2日~16日)≫

門下生が様々な大会で優秀な記録を残すなか、芦原さんにはある思いが頭から離れなくなりました。

「選手が引退するときのさみしそうな表情が忘れられません」-。

日々鍛錬し技を極めた選手が、現役を引退したあと、その身につけた技を、社会のために生かす術はないのか。
子どもや女性が被害者になる凶悪な事件が多発する中、まちの「安心や安全」のために、長年培った技が生かせる組織ができないかと、流派を超えた活動を始めようとしています。

たとえば通学路の安全対策は、教師や保護者などのボランティアに頼っていますが、ボランティアに頼るばかりでは、いずれ限界が来るでしょう。そんな時、有償でも気軽にお願いできる組織があれば、安心の選択肢が増えるとも言えそうです。

ところで芦原さんの父親は、劇画「空手バカ一代」の主要人物でもあり、カリスマ性で多くの人を魅了した芦原会館初代館長芦原英幸氏です。
 ≪道場に飾られている初代館長の雄姿≫

18歳の時、巨大組織を率いる父親を亡くし、跡を継いだ時のプレッシャーは相当なものだったのでは?
「皆さんからよく聞かれますが、そんなに感じなかったですね」―。

5メートル以内には近づけないくらいの威厳と迫力があったといわれる初代に対し、人懐っこい笑顔で、飄々と答える芦原さん。若干18歳で、血気盛んな門下生をまとめるためには、かなりの覚悟を持っていたようです。
「バケモノにしてください。どんな練習も耐えますから」と、師匠(父親の高弟)の門をたたき、足の裏の皮がむけても、毎日倒れるまで練習をしたそうです。

「プレッシャーを感じるくらいなら練習をしようと。圧倒的な練習量で強くなれば、誰も文句は言わないだろうと」―。

父親からは、常に謙虚であれということを教えられた芦原さんは、新人に対しても気軽に話しかけ「(私も)何かを教えてもらっている」という姿勢を忘れないようにしているといいます。
明るく気さくに人と人をつなぐ、新しい形のリーダーシップで、空手界にムーブメントを起こすことでしょう。

2022年には2年に1度の「芦原会館世界大会」を松山市で初めて開催。併せて総本部道場も現在の近隣(JR松山駅近く)に移転新築するとか。偉大な父親のあとを追って新たな挑戦はまだまだ続きそうです。

新国際空手道連盟「芦原会館」館長、芦原英典さんへのインタビューは、きょうの「ニュースな時間」で放送します。(18:30頃

記者プロフィール
この記事を書いた人
永野彰子

入社32年目、下り坂をゆっくり楽しんで歩いています。
ラジオ「ニュースな時間」で出会った人たちの、こころに残ることばを中心にお伝えできればと思います。

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