ゆいの見た桜はー

オピニオン室

「ゆいさんは、いまの私たちにつながる生き方を、自分で見つけようとした人だと思う」―。

  映画「ソローキンのみた桜」が15日から愛媛先行公開されます。自由な恋も生き方も許されず、周囲の意図によって人生を決められていく明治の女性。平成に生まれた主演の阿部純子さんにとって、そんな時代の中にあっても自分の信念をもって生きようとしたゆいの人生に心を動かされたといいます。

 女性の地位向上を謳う38日の国際女性デーでは、今年も世界各地でデモ行進やイベントが行われました。11日付けの朝日新聞によると、男女平等への積極的な取り組みは、投資家による企業の評価にもつながるため、今やビジネスに欠かせない視点になっているそうです。

 個人が尊重され、自由意思があたりまえの時代、このあたりまえも、少しずつ少しずつ自分の人生を、自分のものにしていった先人女性たちの、涙と悔しさと信念があったからだとあらためて感じます。

 男女雇用機会均等法ができた2年後に社会人となった私も、当時は、女性アナウンサーは2年で「寿」退社するのがあたりまえ、男性社員からの「まだ会社辞めないの(結婚しないの)?」が親しみを込めた日常会話だった時代。そんななか、結婚をし子供をもち、延長保育なんて言葉もない時代に、仕事を中抜けし、幼稚園から託児所へと2重保育に向かうために乗ったタクシー運転手さんから「子供を預けてまで仕事をして、子供が可哀想やろ」と嫌味を言われながらも、踏ん張って踏ん張って頑張りぬき、やがて私たち後輩を支えてくれる存在となった、先輩たちがいたからこそ、いまの自分たちがあるんだー。番組インタビューでの阿部純子さんの言葉は、擦り傷を負いながら道を開いていってくれた先輩たちへの、感謝の気持ちを思い出させてくれました。

 不自由な時代をいきた人たちですが、映画に登場する人はみんな、自分よりも誰かを思いやり、誰かのために尽くそうとします。ひとが人を思うこころが、美しい映像とともに、映画で2回、本で1回、涙腺を・・。悲恋のはずですが、とても清々しい作品でした。

  ちなみに、私の中の隠れナンバーワンいい男は、「名倉康平」です。近年の残虐な事件が相次ぐ中、康平の器の大きさには、敬仰します。ぜひ作品で見つけてくださいね。

記者プロフィール
この記事を書いた人
永野彰子

入社32年目、下り坂をゆっくり楽しんで歩いています。
ラジオ「ニュースな時間」で出会った人たちの、こころに残ることばを中心にお伝えできればと思います。

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