展望2023年 続く物価高に電気料金は…

オピニオン室

物価高騰があらゆる分野に及ぶなか、
暮らしに欠かせない電気料金は
これからどうなるのでしょうか。

電気料金 いったんは値下げ、しかし・・・

先月、エネルギー価格の
高騰対策などが盛り込まれた
国の第二次補正予算が成立しました。

国の対策費が得られることで、
四国電力の月額電気料金は
一世帯平均1820円値下げされます。
(一般家庭・今年2月から10月まで)

実際の電気料金です。

しかし、この値下げは一時的。

長続きしない見通しです。

値下げも束の間、一転、値上げへ

実は四国電力は、火力発電に使う
燃料費の高騰などを理由に
去年11月、国に対し
電気料金の値上げを申請しています。

四国電力の今年度の連結経常損益は
300億円の赤字となる見通しで、
苦しい経営状態が続いている現実が
値上げの大きな理由の一つとなっています。

来月には高松市で
値上げに関する公聴会も予定されていて、
四国電力は4月1日の
値上げ開始を予定しています。

値上げ額は2205円で、
国の対策費1820円を充てても
差し引き
385円値上げされることになります。

###

原発政策にも大きな変化

電力事業をめぐっては、昨年末、
岸田総理が福島原発事故後の政策を
転換すると発表しました。

岸田総理は政策転換の理由に
2050年の脱炭素社会実現に向けて
発電時にはCO2を排出しない
原発への依存度をより強め
エネルギー供給の脱炭素化と
安定供給を挙げています。

具体的には
安全を確保しながら原発の再稼働を進め
最長で60年と定められている
原発の運転期間を伸ばすほか、
次世代型の原子炉の開発・
建設を推進するという内容です。

加えて、二酸化炭素の排出量に応じて
企業に金銭的な負担を課し、
排出の削減を促す
「カーボンプライシング」については
▼石油元売り会社・電力会社など
化石燃料の輸入企業から
賦課金(いわゆる「負担金」)を
徴収する制度を2028年度から導入し、

▼企業などが排出量を削減した分を
市場で売買できる「排出量取引」を
2026年度から
本格実施するとしています。

電気料金の価格の問題は
このように
電力の安定供給、さらには原発再稼働
そして、地球温暖化問題と深く関わり
広がりのあるテーマです。

伊方原発が立地する愛媛県にとっては
原発の安全性を含む
日常生活のコストの問題として、
さらに、未来のエネルギーの
あるべき姿の問題として、
そして、地球の環境問題として
広い視点と長い時間軸で
考える必要もありそうです。

記者プロフィール
この記事を書いた人
中武正和

1975年11月松山市生まれ。南海放送南予支局(宇和島駐在)記者として一次産業を中心に様々な話題を取材。西日本豪雨は発生時から被災地で取材活動に従事。2021年4月から県庁担当記者。南予・東予から届く支局の話題を分かりやすく解説します。

中武正和をフォローする
オピニオン室