先月22日、政府は
外国人技能実習制度を見直すため、
有識者会議を設置することを決めました。
背景には、劣悪な環境に苦しむ
実習生たちの現状があります。
西予の縫製会社で賃金未払いが発覚
先月16日、松山市で
ある記者会見が開かれました。
■ベトナム人技能実習生
ドアン・ティ・トゥ・ガーさん
「社長が悪い人だとは思っていないので、
とにかく残業代を払ってほしい」
ドアンさんをはじめ
西予市の縫製会社で勤務していた
11人のベトナム人技能実習生が、
縫製会社の経営者の男性に対し、
未払いとなっている残業代
およそ2700万円を
支払うよう訴えたのです。
実習生らを支援する
連合ユニオン東京、
それにNPO法人
日越ともいき支援会によると、
西予市の2つの縫製会社で、
ベトナム人技能実習生
11人への残業代が
2019年以降、
ほとんど未払いになっている
ということです。
この内、時効になっていない
過去2年間の残業代の未払い額は
およそ2700万円にのぼるといいます。
経営者の男性は、
未払い分の一部を支払うと
約束していましたが、
その後 会社は
自己破産する方針を示したため、
支払いのメドはたっていません。
会社側の代理人は
「未払い分を支払えないため、
会社を破産することにした。
本来払うべき残業代を
払っていないことについては
申し訳なく、
弁解の余地はありません」と
コメントしています。
ワコールHDが支援の手
こうしたなか、衣料大手の
ワコールホールディングスは、
人権尊重の観点から
金銭面を含めた支援を
行うことを明らかにしました。
ワコールホールディングスは、
仲介業者を通じて
実習生たちが勤務していた
西予市の縫製会社に、
パジャマの生産を二次委託していました。
支援の内容は
主に金銭的なものになるとした上で、
金額や支援の時期などは
引き続き検討するとしています。
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県内の外国人技能実習生はいま
この表は、愛媛労働局がまとめた
県内の外国人技能実習生の数を
国別にまとめたデータです。
ベトナムが全体の半数近くを占めていて、
次いで中国、フィリピンの順となっています。
産業別の内訳は、
製造業が全体の半分以上を占め、
建設業や卸売業・小売業などが続き、
さまざまな業種で
働いていることが分かります。
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外国人技能実習生問題をもっと真剣に
外国人技能実習制度は、
日本で学んだ技能を母国へ持ち帰り、
それぞれの国の発展に
役立ててもらおうという趣旨があります。
日本での実習期間は最長で5年。
しかし、現実は過酷な現場で
労働力を補うという
人手不足の解消という側面が
数多く見られ、
目的と実態がかけ離れているという
指摘があります。
政府が進める制度の見直しの行方に
注目が集まっています。