幻の黒イチジクとは?
ビオレソリエスと呼ばれる
フランスではよく作られる品種で
日本ではまだ
わずかな生産者しかいません。
苗を植えて実をつけるのに
7~8年近くかかるといわれ
しかも必ず実をつけるとは限りません。
栽培がとても難しいのです。
ところが!
◆村上海賊もお墓でビックリ?
この貴重な黒イチジクの栽培に
村上海賊の子孫たちが成功したのです。
しかも一旦、島を離れた海賊の子孫たちが
しまなみ海道の今治市大島に帰ってきて・・・。
海賊の子孫の一人(と推測?される)
青野右京さん(29)。
父方の実家が今治市宮窪町(大島)にあり
父親は島を離れて大阪で就職したため
本人は大阪出身です。
しかしこの春から、
今治市の地域おこし協力隊のメンバーとして
空き家になった祖父の実家で生活し
黒イチジク栽培を手助けしています。
もう一人の海賊の子孫(と思われる)が
織田健太郎さん(34)。
千葉県在住でエンジニアをしていますが
実家がやはり宮窪町。
休みを利用して
地元で黒イチジクの栽培を手伝ったり、
web会議で
海賊の歴史を活かした町づくりに
協力しています。
若い2人は強力な助っ人です。
実際に
黒イチジクを植えたのは村上利雄さん(75)。
自宅近くの約600坪の畑に
黒イチジクの苗を植えたところ
予想外に順調に育ち、
通常7~8年かかるとされる
黒イチジクの実が
なんと!
3年目あたりから
ポツポツと実をつけ始め
4年目の去年、
数十キロの収穫がありました。
去年の収穫をジャムにしたのがこちら!
味は普通のイチジク(日本イチジク)とは
かなり違います。
私の個人的な感想は、口に入れた途端、甘さが
「虎屋の羊かんみたい」。
濃厚な、深い甘さを感じます。
(実際に糖度が高い)
◆日本で2番目の産地を目指せ!
日本ではまだまだ生産者が少なく
”幻の黒イチジク”などと表現されますが・・・。
よく見ると、鈴なり・・・。
どうやら気候風土が、バッチリ!
元海賊の島に適している可能性があるのです。
村上さんらは栽培面積をさらに広げ
イチジクの木も
今の倍の140本に拡大する計画です。
村上さんによると
成功すれば、佐賀県に次いで
全国2位の産地になる可能性がある
といいます。
◆新しい”生き方”に挑戦!ヤングパイレーツ
こうした夢を支えるのが
現代のヤングパイレーツ、
若き海賊の子孫たちの新しい”生き方”です。
大阪出身の青野さんは
「コロナ禍で
人と人との関係が疎遠になって
本当の幸せについて、改めて考えた」と
コロナ禍を移住の理由の一つにあげます。
「協力隊としての収入は
本当にベーシックインカム。
でも自分のルーツの土地の
貴重な観光資源を使って
人を、この土地に呼び込む仕事は
とても楽しくて
お金には変えられない価値を感じる」。
千葉県に住み
ふるさとの『海賊の町づくり』を応援する
織田健太郎さんは、
若い世代が感じる「幸せ」が
昭和世代の私とは異なることを
教えてくれます。
「何かを所有することでは
幸せになれないと思う。
自分たちの世代は
生まれた時から
周りにものが溢れていた世代。
ものを持つことよりも
体験する楽しさや
経験に喜びを感じる」。
そして
「町づくりを体験できるなんて
都会だと絶対にできない」。
そう、地方は
そうしたフィールド、舞台に
実は恵まれているのです。
イチジク畑から少し高い場所に上ると
村上海賊の拠点、能島が見えます。
古い制度や権威からの独立心、
失敗を恐れない進取の気性、
ヤングパイレーツたちは
そうした村上海賊のDNAの一部を
受け継いでいるのでしょうか。
◆海賊の子孫がコロナ後の世界に適応?
畑に隣接する空き家を譲り受け
都会の人向けのリモートワーク用に
改修する計画もあります。
黒イチジクの本格的な収穫は
間もなく始まります。
コロナ禍で傷んだ県内経済ですが
若い世代と地元の人が協力して
新しい経済価値を生み出す活動に出会い
勇気づけられました。
村上海賊、恐るべし!