書道甲子園~誰も知らない、もう一つの実況席

ニュース解説

24日、伊予三島運動公園体育館で
開催された
書道パフォーマンス甲子園。

大会の模様は2階放送席から
実況/藤田勇次郎アナ
解説/言水さつきさん で
TVやYouTubeを通じて放送、
配信されました。

実は、誰も知らない
もう1つの実況席があったのを
ご存じですか?

TVにもYouTubeにも
TwitterやFacebookでも
発信されることのない、
しかし、
書道パフォーマンスを知り尽くした
男2人の
大会への愛情あふれる、
熱い実況が聞けた場所が
実はあったのです。

その場所は
華やかな会場正面、審査員席の真後ろ。

配線が忍び込む
なんだか怪しげな部屋にあります。

薄暗くて
暑くて
雑然とした場所。

”実況”するのは
南海放送制作部長で
書道パフォーマンス甲子園という
大会そのものの
生みの親の一人でもある
荻山雄一さん。

もう一人は
複雑な番組構成を実現する放送機材
EVS を巧みに操る
ボックスの樽健太さんです。

(注:EVSとは録画、編集、再生を
同時にこなす機械。
番組は①収録・編集部分と
②生放送部分が
複雑に絡み合っているため
①と②の作業を
同時進行する必要がある)

2人は放送するために実況しているのでも
そもそも実況している意識もありません。

2人は6つのカメラから送られてくる
画面を見ながら
☆感動シーンを瞬時に選び
☆あっという間に編集し
☆小分けにされたVTRを
放送用に積み重ね
☆最終的に必要な放送尺(長さ)に調整し、
時間を確定させます。

その際に発する2人の言葉。

厳密には独り言、
または何気ない会話なのですが、
聞いていると
2人が会場と一体となり、楽しみながら
判断や編集しているのが分かります。

取材して初めて気づきました。

これ凄い!

その一部を紹介しましょう。

◆誰も知らない、もう一つの実況席から

序盤の一つのヤマ場が
参加20校中、唯一の初出場校
仙台育英学園高校(宮城)の演技でした。

「お~、いいですねー」
「すでに奇麗」
「ドンドン」
(太鼓の音に合わせてリズムをとる)
「いいよ、いいよ」

段々、気分が乗ってきたらしく・・・。

「渋い!カッコイイ!」
「おっしゃ!」
「立体的や!」
「道が出来た」
「カメラさん!そこ意識して!」
(カメラマンへの指示)

よく聞いていると
どうも演技の先を読んでいる様な
気がします。

後で聞くと
「事前に取材しているので
注目点やポイントみたいなのは
頭に入っている」(荻山さん)そうです。

もしかすると
”しっかりやれよ”みたいな
部活動の監督に近い心情が
生まれているのかもしれません。

そして
ビックリしたのが・・・。

「決まった!」
「素晴らしい!」
「やりきったけん、楽しかったやろ」
「これは賞に入りそうやな」

仙台育英学園高校は初出場ながら
なんと!「審査委員特別賞」を受賞、
受賞まで的中させてしまいました。

この『熱い男2人の実況』を
楽しんだのは私一人。

”名実況”を独り占めするのは
もったいない気がするのですが・・・。

「これ来年、YouTube配信とか
してくれんかな?」
↑これ、私の感想

*******

ちなみに配線は・・・。

体育館からさらに外へと延び・・・。

2台の中継車へとつながります。

この中では
2人の”実況”を手助けする
作業が行われています。

向かって左側の中継車では
南海放送制作部の村上太一さんら4人が
6つのカメラの中から1画面を選び
いわば、荻山さんに
”このカットがいいんじゃないですか?”
と提案(サポート)する役割を果たします。

もう一方、右側の中継車では
冨永哲史さんが
最終的に映像を1つにまとめ
台本通りに本社に送ります。

◆書道パフォーマンス甲子園は”生命体”に

2008年、わずか3校で始まった大会には
今年、100校を超える参加がありました。

ゼロから1が生まれ、
その後、すさまじい勢いで
細胞分裂を繰り返し
100を超える細胞 (個性) が支える
生命体になったように感じます。

一方、それを伝える側も
TV、そして映画、さらに
YouTube、SNSへと
細胞分裂を始めました。

人間の情熱に
テクノロジーの力が加わり
大会の生命力が一層、増す・・・
そんな可能性を感じました。

記者プロフィール
この記事を書いた人
三谷隆司

今治市出身(57) 1988年南海放送入社後、新居浜支局、県政担当記者を経て現在、執行役員報道局長・解説委員長。釣りとJAZZ、「資本論」(マルクス)や「21世紀の資本」(ピケティ)など資本主義研究が趣味。

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