参議院議員選挙が
7月10日投開票に決まりました。
アフターコロナの県内に
激変する世界の中で
どんなニューノーマル(新しい常態)が
生まれるのか。
県内各地を取材し
選挙の争点とあわせて
シリーズでお伝えします。
第1回、舞台は今治市です。
【ニューノーマルへのポイント】
①地場産業が世界と闘うには
税制改革が必要。
②衆院小選挙区の10増10減は
地方の衰退を招く。
③造船やタオルなど
ジャパンブランドを今治市で守る。
今治市長に初当選して1年半。
元自民党県議の徳永繁樹市長(52)は
古巣の自民党・岸田政権について
こう切り出しました。
「時代をこれからどうするか、
見えてこない」。
◆1万人の雇用の受け皿、海運・造船
今治市で関連分野を含め
1万人の雇用を産んでいるとされる
海運・造船産業。
「今治市の海事産業は
世界と闘っている。
ところが、
海運は
ギリシャやシンガポールの
税の優遇によって、
造船は
中国の国をあげての
安値競争によって、
競争を有利に進めている。
日本の海事産業は
税制で
国際競争力を削がれている」
(徳永市長)。
例を一つあげると、船を売った場合、
日本では、売って得た利益に対し
35%課税されます。
しかし、シンガポールだと
非課税です。
一つの例ですが、
国際競争の前提となる税制が
日本の海事産業を不利にしていると
主張します。
税制は国によって様々で
国家戦略の要の一つといえ、
最終的には
国民の広い理解と合意が必要です。
ところが・・・。
◆単純に人口比で代表を選ぶ”危険”
海運は
村上海賊に起源を持つともいわれる
歴史を持ち、
造船は
雨が少ないなど
瀬戸内海の気候風土に根ざして
発展しました。
その結果、海事産業は
瀬戸内海沿岸や九州などを中心に
集積しています。
実は、
この立地の”ローカル性”が
問題を
東京など大都市圏の人々に
理解してもらえない背景にあると
いいます。
さらに昨日、勧告があった
定数の10増10減を伴う
衆院区割り案では
愛媛や広島、長崎など
日本を代表する海事産業集積地の
議員定数が減少します。
東京は5増。
税制を決める国会の多数決では
地方は増々、不利になります。
「海運会社が船を発注し、
造船会社が造る。
この能力が日本から奪われたら
安全保障面でも取り返しがつかない。
しかし、東京でいくら訴えても
実感として分かってもらえない」
(徳永市長)。
◆ジャパンブランドを今治で守る
船舶以外にも
今治タオルも苦難の歴史を経て今、
日本一のブランド力を誇ります。
「タオルも後継者が出て
良い循環が生まれている。
タオル産業は
染めの工程や縫製工程など
地域内での分業が特徴。
今治市全体で
一つのサプライチェーンを
形成している。
全体を守ることが大切」と
持続可能な産地の発展を目指します。
世界で闘う海運・造船と
世界を目指すタオルという
ジャパンブランド
made・in・IMABARIを
いかに守り、育て、攻めるか。
ニューノーマルへの軸足と
なりそうです。
◆取材を終えて
税制は国全体の公平性が重要。
特定の業界の”我がまま”と
受け止められないためにも
市民全体の理解と後押しが大切です。
業界自身も一層、市民の中に溶け込み
情報もより積極的に公開するなど
努力が必要となりそうです。
また、市の職員もこれから大変です。
闘う相手は世界ですから。